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iemiru コラム vol.130

デメリットも多いが、住宅に不可欠なパイプスペース(PS)。なるべく快適な生活のために考慮すべきこととは?

平面図でよく見かけるパイプスペース(PS)とは?

家づくりやマンションなどの購入を検討する時には、購入経費をはじめてとして、重要なポイントがいくつもあると思います。そのいくつかある重要なポイントの一つに「間取り」があります。「間取り」にこだわることは快適な生活空間を創る上では非常に重要なポイントです。こういったことから住まいを選ぶ時には、平面図を使って間取りを確認していくことが一般的となっています。 平面図とは、多くの人が「間取り図」と聞いて思い浮かべるものに近く、建物の真上から見たような各階ごとの図面です。基本的な図面の1つで、「リビング」や「キッチン」、「風呂」などの部屋ごとの役割が記述されているだけではなく、床の高さ・天井の高さなどの上下方向の数値や扉の種類(引き戸、開き戸)や壁の構造などの住宅設備についても記述されているので、家の間取りを知る上ではなくてはならない図面です。「不動産屋などで見かける図面」と言えば良くわかると思います。平面図を見ることで、自分がその中で生活している状況をイメージすることができ、住宅を購入する時には非常に参考になります。 間取りを決めていく上で非常に重要なこの平面図の中には、建築用語や住宅用語などが記述されていることも多く、その言葉の意味を理解していないと何の役割がある部屋なのか分からないといったことがよくあります。 リビングダイニングキッチンを表す「LDK」やトイレを意味する「WC」、収納においては納戸(サービスルーム)を意味する「S」やクローゼットを示す「CL」などは、一般的に知られている住宅用語でしょう。では、「PS」という閉鎖されたスペースはいったいどんな部屋を意味しているのでしょうか。 「PS」も住宅用語として建築業界では一般的な用語ですが、一般的に知っている方は少ないのではないでしょうか。 「PS」とは「パイプスペース(PS)」を表す略語で、その名の通りパイプを集約しているスペースとなります。 「PS」と似た「DS」(ダクトスペース)もありますが、換気や空調などに使うダクトを通すためのスペースで、必ずしも設置されているものではありません。

家づくりやマンションなどの購入を検討する時には、購入経費をはじめてとして、重要なポイントがいくつもあると思います。そのいくつかある重要なポイントの一つに「間取り」があります。「間取り」にこだわることは快適な生活空間を創る上では非常に重要なポイントです。こういったことから住まいを選ぶ時には、平面図を使って間取りを確認していくことが一般的となっています。 平面図とは、多くの人が「間取り図」と聞いて思い浮かべるものに近く、建物の真上から見たような各階ごとの図面です。基本的な図面の1つで、「リビング」や「キッチン」、「風呂」などの部屋ごとの役割が記述されているだけではなく、床の高さ・天井の高さなどの上下方向の数値や扉の種類(引き戸、開き戸)や壁の構造などの住宅設備についても記述されているので、家の間取りを知る上ではなくてはならない図面です。「不動産屋などで見かける図面」と言えば良くわかると思います。平面図を見ることで、自分がその中で生活している状況をイメージすることができ、住宅を購入する時には非常に参考になります。 間取りを決めていく上で非常に重要なこの平面図の中には、建築用語や住宅用語などが記述されていることも多く、その言葉の意味を理解していないと何の役割がある部屋なのか分からないといったことがよくあります。 リビングダイニングキッチンを表す「LDK」やトイレを意味する「WC」、収納においては納戸(サービスルーム)を意味する「S」やクローゼットを示す「CL」などは、一般的に知られている住宅用語でしょう。では、「PS」という閉鎖されたスペースはいったいどんな部屋を意味しているのでしょうか。 「PS」も住宅用語として建築業界では一般的な用語ですが、一般的に知っている方は少ないのではないでしょうか。 「PS」とは「パイプスペース(PS)」を表す略語で、その名の通りパイプを集約しているスペースとなります。 「PS」と似た「DS」(ダクトスペース)もありますが、換気や空調などに使うダクトを通すためのスペースで、必ずしも設置されているものではありません。

給水、排水、ガスの配管を納める空間のこと

給水、排水、ガスの配管を納める空間のこと

パイプスペース(PS)は住宅には必ず必要なスペースで、排水管や給水管、ガス管などが集約されている空間となっています。

MBPSもパイプスペース(PS)の仲間

また、平面図の中には「MBPS」と表記されているものもあるのですが、これは、「MB」と「PS」が集約されたスペースを表す住宅用語となります。「MB」とはメーターボックスの略語で、水道や電気、ガスなどを検針するメーターが集約されている場所を表しています。このメーターボックスの「MB」とパイプスペースの「PS」を合わせたスペースを住宅用語で「MBPS」と表記し平面図に記述しているのです。ですから、「MBPS」と「PS」は、どちらもパイプスペース(PS)としての機能を有しているということになります。

給水と排水で最低2ヶ所にある

さて、このパイプスペース(PS)ですが、一般的な住宅には排水の種類に合わせて2つ設けられています。それぞれ雑排水と言われる排水管を収められていて、1つは浴室や洗面、キッチン、洗濯機などから排出される水に対応した排水管です。もう1つはトイレから排出される汚水を流す排水管です。パイプスペース(PS)は、浴室やトイレの数や、浴室やトイレなどの配置場所によって増設されることがあります。

パイプスペース(PS)のデメリット

パイプスペース(PS)の設置する場所や配置する位置などは、快適な住まいづくりを考える上では慎重になる必要があります。家を建築・購入した後に後悔しないように、パイプスペース(PS)が生活に影響を与えるデメリットを知って置く必要があります。

上階の住人の生活音が気になる

パイプスペース(PS)の内部には、排水管や給排水などの各種配管が縦方向に設置されている以外には特に何もない空間なので、上階の住人の生活音が伝わりやすい構造となっています。また、戸建て住宅などで2階部にトイレや浴室などが設置されている場合、排水されている水の音などが聞こえることもあり、こういった生活音が気になる場合があります。

部屋のレイアウトが制限される

パイプスペース(PS)は、浴室やトイレなどの排水を伴う設備の配置場所に合わせてスペースを設ける必要があるため、本来は希望としていない場所にパイプスペース(PS)を設置する必要が発生してしまうことがあります。こういった状況になると、本来はパイプスペース(PS)として活用するつもりではなかった住居内の場所や空間が犠牲になったり、部屋の一部をパイプスペース(PS)に充てて部屋が狭くなったりする場合があり、住居や部屋のレイアウトが制限される可能性もあります。

リフォーム時も動かせないため、制約になってしまう

また、パイプスペース(PS)は基本的に最初に設置した場所から移動することができないので、リフォームなどで部屋割りを変更したり、建物を増築したり、さらにはキッチンやトイレなどの水回りの位置を変更したりする時などは、パイプスペース(PS)の位置との関係性から、間取りや水道設備を設置する位置に制限が出てしまう可能性もあります。

マンションや中古住宅を購入する時に気をつけること

次に、マンションや中古住宅など既存の住宅を購入する場合には、パイプスペース(PS)のどういった点に気を付ける必要があるのでしょうか。

パイプスペース(PS)の遮音仕様や菅の材質

中古住宅はもちろんのこと、パイプスペース(PS)内の配管が建物を上下に貫いているマンションなどの集合住宅の場合は、特にパイプスペース(PS)の遮音性には注意して確認する必要があります。理由としては、上層階で排出された浴室やトイレ、キッチンなどの排水がパイプスペース(PS)内の配管を流れていく時に発生する排水音は、意外と聞こるもので、生活していく中でのストレス要因となり得るからです。 パイプスペース(PS)の遮音仕様については、天井や床のコンクリートに配管を上下に通すパイプ用の穴が開いているのですが、その部分に緩衝材が充てんされているかどうかが重要となります。また、パイプスペース(PS)を囲っている壁に遮音対策が施されているかも非常に重要です。一般的には厚めの石膏ボードなどで防音対策が行われていますが、中には石膏ボードが薄かったり、全く対策していなかったりという場合もあるので必ず確認しましょう。また、排水管に使用されているパイプの材質も重要で、塩ビ管(硬質塩化ビニル管)の外側を石綿セメントで耐火処理している「トミジ管」が配管資材として使用されている場合は、鋳鉄管などに比べると遮音性が劣ってしまいますので注意しましょう。

寝室の近くにパイプスペース(PS)が配置されていないか

寝室の近くにパイプスペース(PS)が配置されている場合は注意が必要です。排水管を通る排水の音がパイプスペース(PS)内に響きますので、自分が就寝している時などに上層階などでシャワーやトイレなどが利用された場合、その排水音が気になる場合もあります。 さらに、パイプスペース(PS)には、排水管だけではなく給水管も集約されています。給水の音は普段の生活ではそれほど気にならないものの、深夜や早朝など比較的静かな時間帯には意外に響くので、やはり寝室の近くにパイプスペース(PS)が配置されていることはあまり好ましいとはいえません。

キッチンやダイニングの裏に排水管が通らないかどうか

排水管の劣化や排水トラップ内の封水蒸発、汚水桝の処理能力オーバーなどが発生した場合、キッチンやダイニングの裏を排水管が通っていると、汚水の悪臭が部屋に漏れ出てくる場合があります。また、リフォームなどでキッチンを移動したい場合やダイニングの間取りを変更したい場合においても、排水管の位置を移動すると浄化槽や本下水管までの横配管で勾配が確保できない場合があり、理想通りのリフォームが出来ない場合もあります。

配管が入ればいい訳ではない!理想のパイプスペース(PS)の広さとは?

パイプスペース(PS)は、日常生活の中ではスペース内に入ることが無いデッドスペースだと考えられています。そうしたことから、パイプスペース(PS)は各種配管が収まるのに必要な最低限のスペースを確保するだけで十分だと思われがちです。しかしそれは大きな間違いです。これから長い間生活の拠点となる住宅において、パイプスペース(PS)の広さを確保することは重要なことなのです。

施工に十分なスペースがあること

配管を施工する時に、排水管や給水管、ガス管などにさび止めなどを施す場合があります。その場合にはある程度のスペースがないと適切な施工ができないため、管の劣化を早めてしまう可能性があります。また、管によっては保温材を施す必要が生じるものもあり、十分なスペースが確保されていないがために、材料や塗装を管に適切に吹き付けたりすることができず、適切な保温処理ができないために、結露を伴う劣化や水損を起こしてしまう可能性もあります。 また、排水管や給水管、ガス管などは実にさまざまな接合方法で連結されています。例えば管の接合部分が熔接の場合には施工を行うスペースが必要となりますし、フランジ接合(管の接続端に「フランジ」と呼ばれる配管内径と同径の穴が開いた平板を取り付ける)であれば、管の接合部分がフランジにより配管よりも外側に張り出してしまいますので、その分のスペースが必要となります。また、ねじで接合されている場合には、ねじを回すためのスペースが必要となってくるというわけです。 さらに、配管が劣化した場合などには配管の交換などの工事が必要となります。配管交換時に、パイプスペース(PS)に余裕があると、最初に新たな管を通してから、その後に古い管を撤去するといった処置もできますので、施工中の断水時間を短縮できるだけではなく、施工も大掛かりになりにくいなど、作業の効率化が図れるメリットがあります。

保守に十分なスペースがあること

パイプスペース(PS)には、給水などの管系統を分岐するためのバルブが入っています。さらに、MBPS(メーターボックスパイプスペース)の場合は、各種検針メーターが集約されています。バルブなどの装置を動かすためのスペースや、検針メーターの高さを確保するためのスペース、さらにはバルブやメーターなどの更新工事をしやすい場所に配置するためのスペースなど、日常的な保守においても安心して作業できるスペースを確保することが重要となります。

点検に十分なスペースがあること

パイプスペース(PS)を点検する時には、作業する人がパイプスペース(PS)に入ることができなければ適切な点検を行うことができません。そのため、人がパイプスペース(PS)に入り点検できるスペースを最低限確保する必要があります。理想としては、最低限でも1人の大人が中に入り接合部や配管の裏側まで目視でき、それ以外の各種場所を処置できるぐらいのスペースを確保しておく必要があります。

参考:http://setsubinoblog.seesaa.net/article/23178985.html

PSと連携が重要な点検口

パイプスペース(PS)は建物の上下を貫通させるスペースになりますが、パイプスペース(PS)の位置まで設備機器からの横配管のメンテナンスも出来るよう、床下点検口や天井点検口も設けることが重要です。 給排水の漏水が起きたときはパイプスペース(PS)部分も含め、配管の割れや接続部分の確認が出来ることがポイントになります。

これから住宅を建てる人は業者とよく相談しよう

注文住宅などでこれから住宅を建てる場合は、間取りなどを施工業者と相談する際に、パイプスペース(PS)の防音や素材、配置なども相談すると良いでしょう。特にどうしても寝室の近くなどに配置する場合には防音などに配慮してもらうよう話し合って下さい。

パイプスペース(PS)を壁の中に作らず、配管を屋外に出せることもある

パイプスペース(PS)は屋内にスペースを確保し壁で囲う方法だけではありません。マンションやアパートの集合住宅の玄関の横など、外側にパイプスペース(PS)を設ける方法もあります。パイプスペース(PS)を内部に設けにくい場合には選択肢の一つとして考えてみて下さい。

屋外に配管を出すメリット

それでは、パイプスペース(PS)を屋外に出すとどのようなメリットがあるのでしょうか。

室内が広くなる

パイプスペース(PS)を屋外に配置することにより、屋内にそのスペースを必要としないため、部屋の間取りを広くしたり、収納スペースを確保したりし易くなり、全体を有効に活用することが出来ます。

排水音が気にならなくなる

パイプスペース(PS)のデメリットである入浴やトイレなどの使用に伴う排水の音が、その排水音の元なる排水管を屋外に設置することで、屋内に設置した時よりも気にならなくなります。

つまりや水漏れ時に対処しやすい

排水管の汚泥による詰まりや給水管の水漏れなどのトラブルが発生した場合、屋内にパイプスペース(PS)が設置されていると、その位置によっては壁や床を剥がす必要がありますが、パイプスペース(PS)が屋外に設置されている場合は、壁や床を取り壊す必要がありません。また、屋内とは違い屋外での施工作業となるので作業に伴う汚れや傷などを心配する必要もありません。

屋外に配管を出すデメリット

それでは、パイプスペース(PS)を屋外に出す場合のデメリットとはどういったことが考えられるでしょうか。

配管がむき出しになる

パイプスペース(PS)を屋外に配置した際に、配管を収納するボックスなどしっかりとした設備が用意されていない場合、配管がむき出しになってしまう場合があります。むき出しになった配管は見栄えが良いとは言えず住宅の外観が悪くしてしまいます。また、パイプなどの色合いが住居のコーディネートを台無しにしてしまう可能性もあります。

露出による劣化、破損が早い

パイプスペース(PS)が屋外に露出されると、配管や設備が雨や風にさらされたり、砂ぼこりが入り込んだりして、配管類の劣化を早めるだけでなく、パイプ類の破損を招く可能性が高くなってしまいます。

冬季に凍結の恐れがある

寒冷地などではもちろん、寒冷地以外でも冬季に給水管の凍結の恐れがあります。パイプスペース(PS)は浴室やトイレなどの配置位置やその性質上、住宅の表側に設置されるよりも裏側や横などに設置されますので、比較的日陰となる場所です。ゆえに、想定外の凍結などのトラブルの原因となる可能性があるので注意しましょう。 なお、排水管は水が管の中には留まらないので凍結する心配はありません。

パイプスペース(PS)は無くせない

これまでパイプスペース(PS)について説明してきました。パイプスペース(PS)は住宅には必ず設置しなければならないスペースです。 排水管、給水管、ガス管などが集結されたパイプスペース(PS)はただのデッドスペースと思われがちですが、実は私たちが生活する上で必要不可欠なスペースなのです。

住宅の購入時、建築時は住んだ後の生活を考えて、パイプスペース(PS)にも考慮しよう

これから長い人生ともにする住まい空間を考える時に、部屋の広さやキッチンの使いやすさを考慮することも重要です。しかし、パイプスペース(PS)は一度施工すると設置場所を移動することはその性質上ほぼ不可能です。ゆえに、このスペースについてしっかりと検討することは、理想的かつ快適な居住空間を確保するだけではなく、家のメンテナンスへの配慮にも繋がります。 自分の家により一層の愛情を注げる重要なポイントであることを忘れないで下さい。

【監修】やすらぎ介護福祉設計 斉藤進一(一級建築士・一級建築施工管理技士)

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