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iemiru コラム vol.196

【連載】sweet homeへの道 建築編 vol.5

地鎮祭、上棟など知らないことだらけ

地鎮祭とは、その土地の神様にこれから家を建て住まわしてもらうことを許可してもらうための祭祀であり、工事の無事と一家の繁栄を祈ります。初めてのことなので、何を着ていけばいいのか、どのくらいの金額を神主さんに渡せばいいのかなど、わからないことだらけでした。建設会社の人に聞くのはもちろんですが、インターネットで随分検索し、主人はYou tubeで動画を見てイメージトレーニングしていました。地鎮祭では、施主の鍬入れや四方祓いなど、これまでの人生で経験したことのない儀式があるからです。主人なりにうまくいくイメージができていたようですが、その時になってみると緊張して間違えていました。神様に失礼がないように最善を尽くそうとした主人の心持ちを、神様は愛おしく思ってくださっているのではないかと思います。

そして上棟とは、柱や梁を組み、棟木を納めることで、その際に、神様に対し工事の無事を感謝し祈願する祭祀です。祭壇を組み神主さんに祝詞をあげてもらうような昔ながらの儀式は、近年では簡素化されていたり、上棟式自体をしない人もいたりするようです。私たちの家の場合も、工事の都合上、建築会社の人はスピーディーに上棟をしたいようでした。柱を組む際に使用するクレーン車の駐車スペースや、天候、そして職人さんの都合などもあるので、伝統的な上棟式をするかどうかは施主の希望次第のようです。私たちは簡素化した上棟式をしましたが、神様にご挨拶や感謝もしたいなと思い、上棟の前日に地鎮祭でご縁をいただいた神社にお参りに行きました。

インターネットでなんでも調べることができるので、「正しい」儀式や作法をしようと努力することはできますが、時代や個人の事情などによりそうできないこともあるかと思います。作法にこだわるよりも、その土地で家を建てることができることに感謝し、多くの人の手によって家を建ててもらうことに感謝するということが、地鎮祭や上棟式なのかなと思いました。

職人さんとの関わり方

田舎にある自分の実家では、庭木の手入れやリフォームなどで職人さんに来ていただくとなると、10時と15時に毎日お茶とお菓子を用意していました。今住んでいる場所と新しい家とは少し離れているため、毎日そのようなことをするのは負担になるなと思いました。建築会社の人に聞いたり、インターネットで調べたりすると、「ご自由にお取りください」という箱の中にまとめて買った缶コーヒーやお菓子を入れておいたという人や、差し入れを全くしないという人もいたりするようで、人それぞれだとわかりました。

実家が県外にある私達は、家が建つ様子を見に来ることが難しいお互いの両親のためにも、建築の様子を写真に残しておきたいと考えていたので、週末に写真を撮りに行く際に差し入れを持っていくことにしました。大工さん一人で作業しているときもあれば、水回りや電気の職人さんもいてごった返している時もあります。多めに缶コーヒーを買って行ったり、小分けされたお菓子を持っていったりするのがいいように思いました。コーヒーはブラック派や微糖派など好みがあるので、何種類かを買い、コーヒーが苦手な人のためにお茶も用意しました。 人当たりが良く、作業の様子を話してくれる職人さんが多かったです。私たちが帰るまで傍にいようとしてくれるようなサービス精神の旺盛な職人さんもいて、昔ながらの口下手で無骨な職人像はなくなりました。

目にするまでは不安でいっぱい

毎週末のように現場に足を運んで写真を撮りましたが、そのたびに家が出来上がっていくのを目にすることができました。床が張られたり、階段が張られたり、サッシがついてトイレやバスも設置されていきます。ショールームに何度も足を運び最善を選んだはずですが、迷いすぎたために何を選んだのかさえ忘れてしまっているくらいでした。実際目にして初めて、「あぁ、これを注文したのか」とわかると同時に、「これで良かった、ぴったりマッチしている」と納得できました。 水回りのショールーム、壁紙のショールーム、建具や床材のショールームと、多くのショールームでそれぞれを選んでいるため、頭の中でシミュレーションをしてはいても、全体のバランスがうまくとれているのか不安です。目の前で家になっていく様子を見ると、その頭の中のシミュレーション以上にうまくマッチしているように思い満足しました。

「あの壁紙、やっぱり変更できないかな?やっぱりこっちの方がいい気がする」と、決めてからも悩むほどに優柔不断でしたが、そんなに悩むことはなかったと思うほどに素敵な仕上がりになっていました。 一般的に、男性は空間や図形の読み取りが得意だけれど、女性はそれらを苦手とする人が多いと聞いたことがあります。私たち夫婦もまさにその通りで、図面を見ても、柱が組まれても、私は家のイメージがあまり掴めませんでした。床が張られ、トイレやバスが設置され家らしくなっていくにつれて、「あの図面がこうなるのか」とわかっていきました。

中古住宅をリフォームするように、実際の家に対して、どの壁紙にするのか、どのトイレにするのかと、新築住宅でも決めることができるのであれば、女性にもイメージしやすいかもしれません。小さな模型やパソコンの中でシミュレーションしても、実物の大きさになって体感してみないとわからないこともあります。これからの時代は技術がより進み、もっとリアルにシミュレーションできるものが開発されていくのでしょう。

私たち夫婦にとって家づくりは、悩みも不安も含めていろいろな感情を共有できた、二人の人生のエンターテイメントの1つであったといえます。そしてこれからこの家で生まれる新たな物語を、主演の二人として楽しめることに感謝しています。

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