iemiru コラム vol.213
えっ!土地を購入したのに家を建てちゃダメ?その理由である間口とは?
間口とは?
せっかく高いお金を払って土地を購入したのに、「家を建てることができない」と言われたらショックだと思います。実は家を建てることができないのは、ある条件があるからなのです。それに深くかかわる間口について説明します。
間口とは、土地や建物の正面の幅のことを指す
間口とは、敷地や建物を正面から見た幅のことをいいます。これに対して、敷地や建物の長さを「奥行き」というのです。間口は、一戸建ての場合には、道路に面した側をいい、マンションなどの場合には、リビングやバルコニーのある側を指します。 間口が広いと、通風や採光を確保しやすいため、同じ面積では間口が狭くて奥行きが長いものより割高となるのが一般的です。ただし、間口が広ければいいというものではなく、奥行きとのバランスが重要になります。間口が広いと、外からの視線を遮ることも考慮する必要があります。黄金比といわれる1:1.618(およそ5:8)や1:1.5などはバランスがよく、使い勝手がよい配置がつくりやすいといわれています。
間口次第で建築不可能な土地になる場合も?
冒頭でも述べたように、間口に関してはある条件があることで建築不可能な土地になってしまうことがあります。それでは、どのような条件で建築不可能な土地になってしまうのでしょうか?
接道義務
接道義務とは、土地に建物を建築する場合に、道路に2m以上接していなければならないという義務の事です。土地の間口は、接道長さともいいかえることができます。つまり、敷地が主たる路面に接する部分の長さです。 実は、家を建てるときには建築基準法によるさまざまな制約があり、好きな場所に自由に建てられるわけではないのです。「接道義務」はその制約のひとつです。都市計画区域内で建物を建てる場合、原則として建築基準法で定められた幅員(幅)4m以上の道路に2m以上接した土地である必要があります。これは、火災や地震などの災害が起きたときの避難経路、消防車や救急車が通れる経路の確保が目的なのです。 今、家が建っていても間口が2m未満だった場合は、建築不可能な土地となります。そして、その土地には建物を建築することができないのです。また、建築不可能な土地となった場合、新たに家を作り直すこともできないため、土地の価格も暴落します。当然、土地の資産価値が安くなってしまうのです。 実は相続した家が古い場合、建て直すために更地にしたとしても、接道義務を満たしていななければ、家を建てることができないのです。 制約のなかったころに建てられた家がある場合、その家を解体して更地にすると今の建築基準法が適用され、新たに家を建てられなくなります。例えば、住宅密集地でよく見られるのが、土地が道路につながっておらず、ほかの人の土地を通らせてもらって出入りしている家。改築は可能である場合が多いのですが、一度更地にして新築する、ということができないのです。 そして、道路から奥まっていて、路地状の土地が道路に接している旗竿型の土地。道路に接していても路地状部分の幅が2m未満の場合も、新しく家を建てることができない、という点にも注意が必要です。
裏ワザ
接道義務があり、2m以上接しなければならないという規則がありますが、これをクリアするための裏ワザがあります。路地部分に隣接する土地の一部を買い取る、または借りるなどの方法で、接道義務をクリアすることで家を建てられる場合もあるのです。 その他の例でもいくつか裏ワザがあり、接道の幅員が4メートル未満のときにセットバック(道路後退)することで建築可能です。今ある道路は狭いけれど、沿線の住民が少しずつ後退することで必要な広さを確保していこうということです。セットバック部分には建物はもちろん塀や花壇なども作ることができないのです。 また、既存の塀なども取り壊す必要があります。「自分の土地なのに自由に使えない。」という状態ですが、街全体の安全・安心のためには協力することが必要です。セットバックは原則として道路を中心とした両側の敷地でそれぞれ行いますが、片方が川やがけなどの場合は、そうではない面が4メートルセットバックしなくてはなりませんので注意が必要です。 旗竿地で通路の幅員が2メートル未満のときは、隣の所有者から借りるという裏ワザが使えます。旗竿地で通路の幅員が2メートル未満でも、隣の敷地の通路に面した部分が通行に使えるような状態なら、そこを借りることで接道義務をクリアすることができます。建築確認申請の際に隣の人が承諾していることを示す文書を添えれば問題ないです。 ただし、借りる部分との間に塀があるなど実際に通行できる状態になっていないときは認められないので注意が必要です。また、その部分を貸すことで隣の人が建ぺい率など各種規制を満たさなくなるときにもこの方法は認められないので慎重に確認する必要があります。ここで言う、建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合で各自治体が敷地ごとに決めます。 このほかにも役所に事情を説明して建築基準法上の道路として認定してもらうなど、状況によっていろいろな対処方法があります。 いずれにしても接道に関しては規定をクリアしていないと建築不可能ですし、その確認にも専門知識が必要なので、プランなどを考えるより先に専門家に相談することが大切です。
間口の測定方法とは?
敷地や建物を正面から見た幅である間口には、ある測定方法が存在します。どのようにして測定するのでしょうか?
旗竿敷地の間口
まず、旗竿敷地(はたざおしきち)とは何か? 旗竿敷地とは、敷地全体の形状を旗と旗竿になぞらえた土地の事を言います。 原則として、旗竿敷地の間口の場合、路地状部分の幅で測定します。そして、2m以上接していなければ接道義務に違反していることになるのです。 道路との接面部分が2mあっても、建物に至るまでの道路幅が2m未満だった場合、接道義務を満たしていないことになるため、建築不可の土地となってしまいます。 道路との接面部分は2m以上ありますが、建物を建築する部分に至るまでの通路で1.8mとなっている場合など、これでは接道義務を満たさないので建築不可の土地です。 進入部分が2ヵ所あり、それぞれ1mだった場合、合わせると2mになるが、間口は繋がった直線で2m以上必要であるため、接道義務を満たさないです。 基本的に接道義務で道路幅を測定する場合、足し算ではなく直線であることが必要になります。直線で2m以上接していることが接道義務を満たす条件なのです。
水路が敷地との間にある土地
道路と敷地の間に水路がある場合の間口はどうか? 水路が敷地との間にある土地の場合、土地の幅を測定するのではなく、橋の幅を測定するのです。 水路だと思っていても、道路の一部(道路側溝)と判断されることもあります。 水路を占有する場合は、別途水路管理者(市町村や土地改良区など)への水路占用許可が必要です。水路だと思っていても、道路の一部(道路側溝)として扱われる場合もあるので、合わせて道路管理者に確認することが必要になります。
隅切りがある場合の間口
隅切りとはどういう意味? 隅切りとは、直交する道路の曲がり角部分を円弧または直線で切り取る事を言います。 隅切りがある場合、切れている方ではなく切れていない長いほうで測定します。長いほうの長さが2mを満たすことで接道義務の条件をクリアすることができます。
行き止まりの道に接する敷地
行き止まりの道に接する敷地の場合、接面部分が2m以上あれば、建築許可がおります。 接面部分が東側1mと北側1mの場合、間口は足し算をしないため、不可となるのです。 基本的に接道部分は、片側が1mもう片側が1mとしても足し算することはないです。足し算ではなく、直線の長さで測定します。
間取りを考えてから間口を考えよう!
家を建てる際、接道義務を気にして間口を中心に考えてしまうと、どうしても理想の間取りを取るのに制限ある物件になってしまいがちです。それでは、どのような順序で考えていくと良いのでしょうか?
理想の間取りとの乖離
玄関を開放的にする希望がある場合、間口が狭いと実現ができなくなってしまいます。 玄関が開放的だと、外からの明かりと天井の広さで家全体が明るく感じます。このため、玄関を開放的にしたい人は多いと思います。しかし、間口が狭いとその間口に合わせた玄関しか作ることができません。 玄関を開放的にしたい場合、ある程度広い間口が必要になるのです。 間取りが決まってから、土地探しをすれば、乖離現象を回避できます。 間口を中心に間取りを考えてしまうと、玄関だけでなく結果的に間取りも制限されてしまい、リビングを広くしたり、部屋を移動しやすい位置に配置したりと、自分好みの間取りからどんどん遠ざかっていく可能性があります。 先に間取りを決めておくことで、後はそれに合った土地探しをするだけなので、乖離現象を回避することができるのです。
家の横幅=土地の横幅?
家の横幅=土地の横幅の答えはNO、理由は最低でも左右それぞれに80cmくらいの余裕が必要になるからです。 理想的な間取りを考え、仮に横幅6mの家を設計したとき、6mの間口がある土地で大丈夫なのでしょうか?外見からみて、家の横幅と土地の横幅が同じだと感じる人がいると思います。 しかし、家と土地の横幅は最低でも左右それぞれに80cmの余裕を持たせる必要があります。これは、建設工事の時に足場を組み立てる幅や家が完成した後、後ろに回ることを考え、最低でも歩けるスペースは必要になるからです。 理想の間取り幅のイメージができたら、その幅に1.6m足した横幅が必要になります。 そして左右それぞれ1m空いていれば、そこに自転車を置くスペースや、歩くためのスペースが生まれるのです。
理想的な間口の広さとは
間口が広ければ広いほど、家の設計に自由度がでます。 実際に間取りを考えてみると、玄関を開放的にしたり、リビングを広くしたり、自分や子ども部屋を考えてみたりと、いろいろな要望がでてきます。この時、この要望を全て叶えようと思ったらどうしても家の横幅が広くなっていきます。その時に間口が狭い土地を選んでしまってはそれが実現できなくなってしまうのです。理想の間取りを持って土地を探すのと、そうでないのとでは、家が完成した後の満足度が全然違うはずです。間口が広ければ広いほど、家の設計に自由度がでるのです。 購入した土地が広がることが無い以上、理想の間取りを把握することが大事になります。 先に間取りを決めることで、自分の要望と現実の間取りとの違いを回避した理想的な物件を建てることができます。なかなか理想的な間口のある土地は見つからないかもしれませんが、理想の住宅をイメージしながら土地を探すために、先に間取りを考えることが必要です。
間口の測定は正確に
間口が接道義務を満たさなければ建築不可能な土地となります。建築不可能な土地は、資産価値が大幅に下がってしまいます。家や土地というのは、一生に一度の買い物であることが多く、それほど大金を払って購入するものになります。つまり、せっかく購入した土地の価値を下げないためにも、間口の測定を正確に行い接道義務を満たす必要があります。 旗竿敷地や隅切りなど接道義務を満たすための間口の測定には様々なケースがあります。間口の正確な測定に自信がない時には、専門家に依頼することで正確に測ることができます。
「購入したのに家が建てられない」となってからでは遅い!
せっかく土地を購入したのにも関わらず、「家が建てられない!」となってしまっては元も子もありません。高いお金の損失と心に大きな傷を負ってしまうことが考えられます。そうならないためにも、必ず接道義務を満たした土地が必要になります。
後悔しない家づくりのために、少しでも広い間口選びをしよう!
多くの人が土地を購入してからそれに見合う間取りを考えていきます。家を購入する時は土地の購入が先行するのでどうしてもそのように考えてしまいます。 しかし、望んだ家を作るためには、間取りを考えてからその間取りを置ける土地を探すというのが理想的なのです。まだ間取りを考えたことがないのであれば、一度理想の間取りを考えてみると良いです。実際に間取りを考えると分かるのですが、リビングを広くしたり、玄関を開放的にしたりするとどうしても家の横幅が広くなっていきます。その時に間口が狭い土地を選んでしまってはそれが実現できなくなってしまうのです。 まずは間取りを考えてから、それに合う土地を選ぶようにしましょう。購入した後に土地を広げることはできません。後悔しないためにも、理想の間取りを把握してから土地を探すことはとても大切なのです。
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