iemiru コラム vol.226
失敗が相次ぐ土地購入を成功させる秘訣とは?
知っておきたい土地購入のポイント
土地購入は、自分の希望する土地の条件は何かを考え、それらの条件がクリアできる土地を探すことから始まると思います。 良く重要視される条件には、通勤通学に便利なエリア、駅から近い、日当たり、広さ、金額などがありますが、チラシに書かれているような情報だけを見て決めると、後から後悔する可能性が高くなります。 表面的な情報だけでなく、土地を購入した際の税金の問題など様々なことを考慮して、総合的に判断することが重要になります。 そこで今回は、土地購入で失敗しないためのポイントを紹介していきます。理想の暮らしを手にするためにも、土地購入を成功させましょう。
土地購入の流れ
土地の購入は、洋服や食べ物を買うように、「欲しいものを見つけて、その場で代金を支払って受け取る」というわけにはいきません。 土地購入の流れは、「①購入の申込み」・「②売買契約」・「③引き渡し」の3つのステップに分けられます。支払のタイミングは何回かに分かれており、「購入の申込み」時に土地の代金の10%程度の手付金、残りの代金は「売買契約」時に半分、「引き渡し」時に残りの半分を支払う場合。または、「引き渡し」時に残りの代金を全額支払う場合があります。 ここでの「購入の申込み」とは、見つけた土地を購入する意思があることを売り主に正式に伝えるものです。契約書ほど効力があるものではありませんが、余程のことがない限りキャンセルすることは避けましょう。そのため、この時点までに土地の情報を十分把握しておく必要があります。
土地購入の失敗例
土地の情報収集を怠ると、希望の土地を手に入れ、いざ建物の計画を進める段階になって、思っていた建物が建てられないことが判明することがあります。 例えば、地盤の強度に関してよくあるケースは、地盤の強度が弱いため、地盤改良や基礎工事で杭を打つ必要が出てきた場合です。 杭基礎は、地盤が軟弱な場合に採用される基礎の種類です。杭を硬い地層に到達させて建物を支えます。簡単に言うと、硬い地盤まで到達させた柱を土の中に作る方法です。住宅で一般的に採用される布基礎やベタ基礎と比べると手間がかかり、工期と材料費がかかるため費用が高くなります。 そのため、予定していた以上に基礎工事の費用がかさみ、費用をどこかで削る必要が出てくるため、水回りのグレードを落としたり、床面積を小さくしたり、平屋で考えていたものを2階建てにしたりというように、希望の建物が建てられなくケースも出てきます。 後からこんなはずじゃなかったとならないためにも、その土地の地盤がどんな状態にあるのかを事前に調べておくことが必要なのです。
購入する土地の探し方
土地探しの方法ですぐに頭に浮かぶのは、不動産仲介会社ではないでしょうか。賃貸物件の部屋探しでお世話になった経験がある人も多いと思いますが、土地探しなどの住まいに関することは、不動産仲介会社を利用するのが当たり前のように考えていませんか。 もちろん不動産仲介会社で希望する土地を見つけ購入することはできますが、この方法以外にも土地を購入する手段はあります。 様々な選択肢から選ぶほうが、理想の土地が見つかる可能性は広がります。 土地の探し方について、代表的な4つのパターンについて紹介するので参考にしてください。
不動産仲介会社へ依頼する
土地を探しているエリアの不動産仲介会社に足を運び、「庭と駐車スペースがとれる広さ」や「学校や最寄り駅から徒歩圏内」などの希望や予算などの条件を伝え、土地を紹介してもらいます。 不動産仲介会社には地域密着型と全国的に展開しているような大手の会社があり、取り扱っている土地が異なることがあります。 地域密着型はそのエリアのことを詳しく知っており、地元との信頼を積み上げてきていることが多いため、大手には出回っていないような掘り出し物の土地が見つかる可能性があります。 不動産仲介会社に依頼すると、希望や条件に近い土地を素早く見つけくれるので、忙しくて自分で探す時間がない場合や早く土地を購入したい場合でも、土地探しの時間を短縮して効率的に土地を購入することができるでしょう。
建築会社に相談してみる
家を建ててもらう工務店やハウスメーカーなどの建築会社が決まっている場合は、土地についても相談してみることをおすすめします。建築会社の中には、提携している不動産仲介会社の土地を紹介してくれたり、建築条件付きの土地を自社で販売していたりする場合もあります。 理想としている家の間取りなどが実現可能かどうかを検討しながら土地探しができるので、土地も建物も満足できる買い物ができる可能性が高くなります。土地購入から実際の家作りまでの流れがスムーズに行われこともメリットといえるでしょう。
更地以外にも目を向けてみる
更地以外の物件を土地探しの選択肢に入れるのも一つの方法です。既に家が建っている場合、解体撤去の費用が必要になりますが、その分相場の価格より安く土地を購入することができることもあります。 中古住宅付きの土地は、更地の状態ではつかみにくい、実際に家を建てたときのイメージや日当たりの確認などがしやすいというメリットがあります。 ただし、解体撤去の際、接道している道路が狭く重機が入れないことや電線が邪魔で搬出にクレーン車が必要になる場合など、平均的な解体撤去の費用より高くなることがあるので、土地の周辺環境にも気をつけましょう。
住宅用の土地選びのポイント
人によって土地を選ぶ際の条件やその条件の優先順位は異なりますが、納得できる住宅用の土地選びを成功させるために外せないポイントというものがあります。 これから紹介する3つポイントはどんな住宅を建てるかにかかわらず大切な内容になるので、頭の片隅に置きながら土地探しを進めていきましょう。 もちろん、理想的な土地に巡り合うのは難しく、探し続けるときりがありません。これから紹介するポイント以外にも、「妥協点をどこにするか」や「期限はいつまでか」などを決めておかないと、いつまでも土地購入の決断ができなくなることがあります。 家族で話し合って、条件の優先順位を明確にしてから土地探しをスタートさせることが理想の土地探しの近道です。
建物を含めた予算を決める
土地購入の前に、総額の予算を決めておきましょう。その中から土地にかける費用はどのくらいかを決めておきます。土地と建物の費用をそれぞれどのくらい掛けるのかはバランスが大切です。 建物ばかりに費用をかけ過ぎると希望の土地が購入できないかもしれませんし、土地に費用をかけ過ぎると、本当に作りたかった家が作れなくなる可能性が高くなります。 また、土地や建物を手に入れるには購入にかかる金額とは別に税金や保険料などの費用が必要になってきます。これらの費用がどのくらい必要になるのかも想定して、家作りトータルでの予算を決めていきましょう。 税金等にかかる費用はある程度まとまった金額になります。知らずにいると、工事費からその費用を捻出しようとして、泣く泣く内装仕上げのランクを下げたり、生活費を圧迫したりすることに繋がります。夢のマイホームを手に入れ、新しい生活にワクワクしているところに水を差す事態になりまねかせん。予算オーバーで後悔する家作りにならないように、どんなことにお金が必要なるのか事前にしっかり調べておきましょう。
住宅の設計を並行する
住環境がよく、土地の広さや金額も希望通りだとしても、その場所に自分が作りたいと考えている理想の家を建てることができなければ、購入しても意味がありません。土地を選ぶ際には、住宅のプランも並行して進めることをおすすめします。 建物を建てる際には建築基準法などによって様々な決まりがあり、これらの決まりをクリアしなければ建物を建てることはできません。 そこで、土地を選ぶときに必ず確認しておきたいのは、「用途地域」、「容積率」、「建ぺい率」、「接道道路」の4つです。 用途地域によっては住宅を建てることができない土地もあります。 また、容積率や建ぺい率は建物の大きさを制限する法律です。建物を建てる土地は、原則幅員4mの道路に2m以上接道していなければなりません。 住宅設計の際はこのような敷地の制限を調べてからスタートするため、土地探しと並行して行えば、希望している家が建てられないというようなリスクを無くすことができます。
土地の安全性を調べる
土地の安全性も事前に調べておくと良いでしょう。近年、自然災害による建物の被害が頻繁に起こっています。自治体などが発表しているハザードマップで、土地を購入しようとしているエリアにどんなリスクが有るのか知っておくことが必要です。 また、地盤調査は基礎を設計する上で必ず行う必要があります。建物がしっかりしていても地盤が軟弱な場合、建物にヒビが入ったり傾いたりする恐れがあります。そうならないために地盤調査が義務付けられているのです。 この調査は、施工会社や建設会社に依頼すると自社または、専門業者を手配して調査を行ってくれます。調査の結果によって、地盤改良の必要があるのか、杭基礎にする必要があるのかなどを判断します。 地盤調査より前に、その土地が軟弱地盤なのかどうかある程度判断できる方法もあります。 近くに川や池がある低い土地の場合は地盤が柔らかい傾向にあるので、周囲の環境を調べてみましょう。また、以前に田んぼや池だったところを埋め立てて作られた土地も地盤が柔らかい場合が多くあります。地元の不動産会社に聞いたり、自治体が提供している地盤の情報を確認したりしておきましょう。 正確な情報は地盤調査をするしかありませんが、ある程度の予測が事前にできていれば、基礎工事に予想以上の費用がかかり慌てるということもなくなります。
失敗しないためには現地へ行こう!
不動産仲介会社や建築会社などで紹介され、チラシや資料に記載された情報だけを見て判断し、土地を選ぶことはおすすめできません。 記載されている住環境良好などの情報は、人によって捉え方が異なります。 気に入った土地が見つかったら、必ず自分の足で現地を見に行きましょう。 現地を見る際は、ただ漫然と土地を見ていたのではその土地が本当に自分の希望に合った土地なのかどうか決断することはできません。 ここで、最低限押さえておきたい3つのチェックポイントを確認しておきましょう。
①周りの環境をチェック
まず、自分が周囲の環境に対して優先したい事項を決めておきましょう。 例えば、日当たりはどうか、騒音の問題、悪臭の問題、ごみ収集場所の確認、買い物しやすい環境か、学校や病院までの距離は近いか、などです。 また、可能であれば近隣住民同士の関係性を調べることもおすすめします。 事前にリストを作って慎重に確認していくのがおすすめです。
②車と交通機関で行ってみる
移動手段も複数の方法で試してみることをおすすめします。普段からよく使う交通手段を実際に利用して現地を見に行きましょう。 実際に試すことでメリットやデメリットが発見できると思います。 レジャーや買い物で車を利用することが多い場合はそのシチュエーションを想定して、交通量や運転のしやすさ、自宅周辺の一方通行道路等の確認をしてみましょう。 通勤通学で電車を使う場合は、できれば実際に乗ることになる電車の時刻に合わせて電車を利用することをおすすめします。自宅から駅までの道のり、電車の混雑具合等を確認してみましょう。
③昼と夜
昼と夜では街の様子が異なります。明るいうちに現地を見に行くことがほとんどだと思いますが、日が落ちて暗くなった時刻にも現地に行って見ることをおすすめします。 「駅からの帰り道が意外と暗く、人通りも少ないため不安を感じる」や、「飲食店が近くにあるので、夜遅くになっても周囲が賑やかすぎる」など、昼と夜で街は違った表情になります。 住み始めてから後悔やストレスを感じることがないように、昼と夜の周囲の環境や街の様子を観察し、これから先に生活スタイルが変化しても、ずっと心地よく暮らしていけるかどうかを見極める必要があります。
土地購入と住宅建築に必要となる費用
前述しましたが、家づくりの費用は単純に土地代と建築工事費の価格だけを支払えばいいというわけではありません。その他にも、手数料、税金など様々な費用が必要になります。また、その費用が必要になるタイミングも様々です。 予想外の出費で、資金計画が狂って生活費に支障が出たり、工事費を削らざるを得なかったりという状況に陥らないためにも、住宅の新築に必要な全体の費用を事前に調べて、予算をしっかりと把握しておきましょう。
土地購入時の費用
「土地購入に伴う費用」
・不動産仲介手数料(不動産仲介会社を利用した場合。土地代金×3%+6万円+消費税が上限) ・司法書士報酬(土地の登記を申請してもらうための報酬) ・登録免許税(不動産の登記に対する税金) ・登記事項証明書代(登記事項証明書を受け取るための費用) ・土地家屋調査士または、測量士報酬(土地を測量してもらうための報酬)
住宅の建築時の費用
「建築工事に伴う費用」
・解体撤去、整地費用(古家を解体撤去費する場合) ・設計監理料(設計事務所に設計を依頼する場合) ・地盤調査費 ・建築確認申請費用 ・地鎮祭費用
「住宅ローンに伴う費用」
・ローン手数料 ・団体信用生命保険料 ・火災保険料
引き渡し後の費用
「税金」
・不動産取得税(不動産購入後1度だけ) ・固定資産税(毎年) ・都市計画税(毎年)
「その他」
・引っ越し費用 ・家具購入費用
この他にも、各種契約書には印紙代が必要です。また、土地の状況によっては、電柱の移設や擁壁工事費などが必要になります。
土地購入の成功が住宅建築の成功への近道!
土地購入の成功は、理想の暮らしにおいて大きな割合を占めています。家作りを考え始めたら早い段階で土地選びをスタートさせましょう。 時間に余裕があるほど、納得できる土地探しをすることができます。 それと同時に、資金計画や施工会社の選定などを進めましょう。 土地を購入してから建物が完成するまで、やらなくてはいけないことが山積みです。土地購入の段階からアタフタしないように、事前にある程度必要な情報をリサーチして、余裕を持って行動しましょう。
土地購入は最初の一歩
家作りにおいて、土地購入は最初の一歩です。土地購入後も様々な契約書の取り交わし、建物の検討や決断を建物が完成するまで続けることになります。 土地探しから建物完成まで、1年~2年かかるのは当たり前です。長丁場になるのでそのつもりでいましょう。 土地購入の成功は家作りの成功に大きく関係しています。土地購入が成功すれ思い描いている生活にぐっと近づきます。最初の一歩を成功させて、家作りをスムーズに進めましょう。
素早い決定が良いとは限らない
土地探しは難しく、なかなか理想の土地に巡り合うことができないことがほとんどです。そのため、我慢するところがいくつかあっても探していたエリアで予算内の土地が見つかると、焦ってすぐに決断してしまうこともあるかもしれません。 しかし、このような決め方では後で後悔する可能性が高くなります。土地を選ぶときには、何を判断基準にするのか条件に優先順位を付け、絶対に譲れない条件や、どこまでなら妥協できるかの基準を明確にしておくことが成功の鍵になります。自分で作った条件に合った土地が見つかれば素早く決定することに問題はありませんが、そうでなければ一旦冷静になってから判断するように心がけて下さい。
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