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iemiru コラム vol.265

住宅ローンを組んだら確定申告の申請をしよう!最大で年間40万円もどってくる住宅ローン減税制度の申し込み方

住宅を建てたら確定申告が必要!?

住宅を建築した人はほぼ「確定申告」をしています。そもそも確定申告とは「私の今年の納税額は〇〇円です」という手続きですが、大まかに分類すると、①税金を払います(納付申告) ②税金を払い過ぎたから返してください(還付申告)になります。

住宅ローン減税制度を受ける場合は1年目のみ確定申告が必須

ではなぜ「確定申告」をしなくてはならないのでしょうか?簡単に言うと、住宅ローン減税制度は必ず利用しなくてはならないわけではなく「利用したければ自分から申告してください」というものです。そこで面倒でも「確定申告」をしているのです。ただし、住宅建築をした最初の1年目は確定申告が必須ですが、2年目以降は年末調整でOKになります。 今回は住宅ローン減税制度と確定申告について解説します。

住宅ローン減税制度とは?

住宅ローン減税制度は「住宅ローンを利用した人の金利負担を減らすために所得税を控除する制度」になります。住宅を建築する際に自己資金で全額を用意できる人は少なく、住宅ローンを利用する人がほとんどでしょう。家計にとって住宅ローン返済は大きな負担になります。そこで減税制度を設け少しでも家計の負担を減らし、住宅取得を促進させようとするのがこの制度の趣旨です。 住宅ローン減税制度の概要は下記の通りです。 ①毎年の住宅ローン残高の1%を10年間、所得税から控除する
②所得税で控除しきれない分は住民税からも一部控除する
③住宅ローンの借入れを行う個人単位で申請が必要(夫婦で連帯債務の場合は、それぞれで申請が必要)
なお、今後消費税率の引き上げが予定されていますが、それに合わせて制度の拡充が予定されています。

対象の住宅、リフォーム物件のみ控除を受けられる

住宅ローン減税を受けるためには一定の要件があります。住宅を建築すればなんでもかんでもOKというわけではありません。対象となるのは①新築 ②中古住宅(要件あり) ③増改築・リフォーム(要件あり)です。②・③の場合は業者に住宅ローン減税の対象になるか確認してください。「新築、またはそれに近い性能がある」と覚えておけばいいでしょう。

制度の利用のためには4つの要件がある

また、住宅ローン減税を利用するためには下記4つの要件を満たさなくてはなりません。 ①自ら居住すること
②床面積が50㎡以上であること
③中古住宅の場合、耐震性能を有していること
④借入期間や年収についても要件あり
制度の趣旨として高額所得者を優遇する必要はなく、「一般的な年収水準」の人のための制度とイメージしておけばOKです。詳細を知りたい場合には「国土交通省 すまい給付金」のサイトで紹介していますので、そちらも参考にしてみてください。

住宅ローン減税制度の利用でいくら戻ってくるの?

1年間の最大控除額は40万円まで

1年間の最大控除額は40万円、10年間で400万円になります。ただし、「毎年の住宅ローン残高の1%」となるため、住宅ローン残高が2000万円の場合は20万円となります。またローン残高は返済が進むとともに減少していきますので、控除額も少なくなっていきます。 なお、夫婦で連帯債務型の住宅ローンを利用している場合には、夫婦それぞれが確定申告を行う必要があります。また、先に土地を購入するために利用した住宅ローン(土地ローン)は適用対象外です。ただし、建物が完成し居住を開始した段階で土地ローンも適用対象になります。気に入った土地があったので先に土地だけを購入し、年を跨いで建物を建築し、居住を開始しようとする計画の場合には注意してください。

住宅ローン減税制度の控除額は人によって異なる

この制度は「一旦支払った税金が戻ってくる」という組み立てになっています。人それぞれ税金納付額や住宅ローン残高が異なりますので、戻ってくる金額もそれぞれです。自分がどの程度戻ってくるかは、簡単にシミュレーションできるウェブサイトを活用するのがよいでしょう。「住宅ローン減税 シミュレーション」で検索すれば複数サイトが出てきますので、試してみてください。

所得税で控除できなかった分は、翌年の住民税が減額

この制度の優れているところは、もし所得税(国税)で控除しきれなかったら翌年の住民税(地方税)が減額される点にあります。専門的な話は割愛しますが、私たちは国と自治体のそれぞれに税金を払っています。住宅ローン減税は、当初は「所得税(国税)」のみの制度でした。そのため「所得税(国税)」の納付税額が少ないと、払った税金額より控除できる額の方が多くなってしまい、せっかくの住宅ローン減税制度の恩恵が減少してしまいます。それでは減税制度の意味がなくなってしまうため、住民税(地方税)からも控除できるようになりました。 なお、この手続きは確定申告(2年目以降は年末調整)を行えば、その後は国と自治体間で調整がされるため改めて自身で手続きを行う必要はありません。

なぜ確定申告が必要なの?

冒頭で確定申告には「納付申告」と「還付申告」があると紹介しましたが、給与所得者は給与から源泉徴収されて納税していますので、特に副業等の所得がなく給与所得だけであれば納付申告は必要なく、納税手続きは会社が行います。しかし住宅ローン減税制度を利用すると、源泉徴収された税金額では「納め過ぎ」になります。そこで「返してください」という手続き、すなわち還付申告が必要になるのです。 住宅ローン減税を利用するために必要な手続きですが、税務署から「住宅ローン減税が利用できますが、利用されますか?」というような利用意思を確認する案内等は届きません。「利用したい場合は自分から申し出てください」というのが基本です。そして住宅ローン減税制度の申込は、確定申告時に必要書類を提出することで行います。そのため、制度利用のためには、少し面倒ではありますが、必ず確定申告を行わなくてはなりません。

給与所得者の場合、2年目からは年末調整で控除を受けられる

住宅ローン減税制度は、2年目からは年末調整で利用することができるようになります。 給与所得者の場合は毎年10~11月頃に、「この日までに年末調整の書類を提出して」と総務担当(または給与担当部署)から言われているのではないでしょうか。確定申告の手続きは経験がなくても、年末調整の手続きは慣れているという方も多いと思います。 最初の年は、面倒かもしれませんが、確定申告を行って住宅ローン減税の利用申込を行い、2年目からは生命保険料控除などと一緒に年末調整による手続きでOKになります。

住宅ローン減税制度の確定申告はどうやって行うの?

確定申告を行う方法ですが、①自分で行う ②税理士に依頼する という方法があります。②の方法は税理士に支払う費用が必要になります。副業等で給与以外にも所得がある場合や、損益通算を行うなど複雑な内容が絡む場合には専門家である税理士に依頼するほうが確実ですが、住宅ローン減税制度の利用だけであれば自分自身で確定申告を行うこともできます。  自分自身で行う場合ですが、①自分で計算して用紙に書く方法 ②国税庁のWebサイトを利用する方法 があります。 ①の方法ですが、年末になると税務署で「確定申告の手引き」という冊子が配布されます。そこに詳しい計算方法が記載されていますので、それを見ながら計算し用紙に書き写していく方法です。この方法は「自分で計算をしなくてはならない」ため、計算ミスには十分に注意が必要です。 そこで②の国税庁のWebサイトを利用する方法がおススメです。検索サイトで「国税庁 確定申告書等作成コーナー」で出てきます。これは国税庁のWebサイト上で作成し、自分で印刷して打ち出す方法です。ポイントは「自動計算される」ことです。どこにどの数値を入力するかなど、確定申告が初めての場合でも分かりやすいよう作り込まれています。サイトの指示に従って入力をしていけば自動計算され、最後の印刷まで終わらせることができます。 なお、確定申告の手続き期間ですが、年末調整とは異なり年明けに行うことになります。よくテレビや新聞等で「確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日まで」と目にすることもあると思いますが、住宅ローン減税制度を利用する際の確定申告は「還付申告」になりますので、この日程にこだわる必要はありません。なお、この期間は税務署や確定申告相談窓口が大変混雑しますので、書類が整えば早めに提出する方が好ましいでしょう。

必要書類を用意しよう

確定申告に必要な書類は下記のとおりです。 ①確定申告書(税務署に用意されています。国税庁のWebサイトを利用する場合は、自宅のプリンターで打ち出し可)
②住宅借入金等特別控除額の計算明細書(国税庁Webサイトでも取得可)
③金融機関等からの住宅ローンの借入金残高証明書(金融機関より送付される)
④土地・建物の登記簿謄本(原本・法務局で取得可)
⑤源泉徴収票
⑥売買契約書または建築請負契約書(コピー)
⑦マイナンバーカード(またはマイナンバー通知書+本人確認書類)
このうち、③~⑦については、確定申告書を作成する段階で必要なもので事前に用意することができるので、早めに用意をしておきましょう。

確定申告を忘れてしまったら

この記事を読んでいて、「住宅建築をしたけど確定申告をしていなかった」とか「去年そうだったけど面倒だから放っておいた…」という方はいませんか?確定申告は住宅建築をした翌年に行う必要がありますが、住宅建築から5年以内であれば遡って申告することができますので安心してください。 この場合には「2月16日から3月15日の確定申告の期間が来たら…」と悠長に構えることなく、すぐに確定申告の手続きを進めてください。特に住宅建築から4年以上経過している場合には待ったなしです。5年経過すると住宅ローン減税を利用することができなくなってしまいます。

2年目以降の年末調整で書類の提出を忘れてしまったら

この場合でもその年の住宅ローン減税が利用できなくなるようなことはありません。ただし気づいた時期によって手続き方法が異なります。 翌年の1月末までなら年末調整の再申請を行うことができます。この方法は勤務先の給与担当部署に申し出ることにより、年末調整をやり直す方法です。ただし、この方法では勤務先の給与計算実務に影響を及ぼし、源泉所得税の過不足金再計算や給与支払報告書に関連する諸々の事務処理もやり直しになってしまいます。そのため、勤務先に迷惑をかけてしまう方法とも言えます。 気づくのが翌年2月以降だった場合や、勤務先に迷惑をかけたくない…という場合には「確定申告」を行うようにしましょう。  

2年目以降の確定申告の必要書類について

なお、2年目以降の確定申告の必要書類は、最初に比べると少なくなり下記の通りとなります。 ①確定申告書
②住宅借入金等特別控除額の計算明細書
③金融機関等からの住宅ローンの借入金残高証明書
④源泉徴収票
⑤マイナンバーカード(またはマイナンバー通知書+本人確認書類)

個人事業主の方の確定申告方法

住宅ローン控除項目に記載する

住宅ローン減税は、個人事業主であっても利用することができます。個人事業主の方は「年末調整」はないため、毎年確定申告を行う必要があります。具体的な方法は給与所得者の場合と同じです。確定申告書の「住宅ローン控除項目」に記載する、またはWebサイトの該当項目に入力する方法になります。

必要書類を集める

必要書類についても同様です。最初の年は登記簿謄本や各種契約書のコピー等の添付が必要ですが、2年目以降は簡単になります。税理士と顧問契約を結んでいる場合には、住宅ローン減税制度も利用したい旨を申し出ればよいでしょう。

申請を忘れた場合、更生できるのは、確定申告申請から5年以内

もし「個人事業主は住宅ローン減税を利用できない」と思い込んでいて、利用申請を忘れていた場合、またはうっかり失念してしまった場合は利用できなくなるのでしょうか?結論から言うと、5年以内であれば「更生の請求手続き」を行うことで、住宅ローン減税制度を利用することができます。 ただし、この場合でも「当該年度の確定申告が間違っていた」ということになりますので、税務署が調査を行い審査をした上で還付可否が決定されます。更生の請求をしたからと言って必ず還付がされるとは限りませんので留意してください。なお、この場合には事前に税務署や税理士に相談されるほうがよいでしょう。

住宅ローン減税制度の注意点

住宅ローンの借り換えをした際、引き続き減税制度を受けるには条件がある

日銀の金融緩和策の影響もあり、住宅ローン金利が低水準になっています。住宅ローンの借換えを検討している方、実際に金融機関から提案を受けている方もいらっしゃると思います。住宅ローンの借換えセールス時には「金利は〇%低くなります。返済負担も毎月〇〇円、トータルで〇〇万円の軽減になりますよ」という典型的なセールストークがあるのですが、住宅ローンの借換えをすることで減税制度が受けられなくなる場合がありますので注意してください。 住宅ローン借換後も減税制度を利用しようと思った場合には、下記の条件を満たす必要があります。 ①当初の住宅ローンの借換であること
②新住宅ローンが償還期間10年以上など住宅ローン減税の要件にあてはまること
  ①について、新しい住宅ローンを組む時に、当初の住宅ローン以外のローンもまとめて一本化した場合には、減税制度が受けられなくなることがあります。また特に注意が必要なのは②の場合です。 ②について、借換えによる返済負担の減少ばかりに目がいってしまい、返済期間を9年間に設定してしまった結果、住宅ローン減税制度が利用できなくなった…というトラブルは決して珍しくはありません。特に、経験の少ない金融機関の職員はそこまでの知識がないこともありますので、金融機関からの提案を鵜呑みにしないようにしましょう。後からトラブルになっても、「最終的に納得した上で契約書に実印を押しましたよね」で押し切られてしまうかもしれません。

住宅ローンを繰上返済すると減税制度を受けられない場合がある

これと同じことは住宅ローンの繰上返済をした場合にも当てはまります。繰上返済をした結果、返済期間が短縮され10年を切ってしまうと、住宅ローン減税制度が受けられなくなります。この手のトラブルが発覚するのは、10月頃に送付される「住宅ローンの残高証明書」が届かないので金融機関に問い合わせてみたら、実はもう住宅ローン減税制度が受けられなくなっていた…というケースが多いです。

住宅ローンを組んだら確定申告を忘れずに!

冒頭にも紹介しましたが、住宅ローン減税制度は必ずしも利用しなくてはならない制度ではありませんが、利用できるのであれば、利用すべき制度です。確かに1年目の「確定申告」や2年目以降の「年末調整」に面倒さを感じてしまうことはあると思いますが、経済的なメリットを享受することができます。 また、住宅ローン利用を機に「確定申告」に対する抵抗がなくなり、それ以降「医療費控除」で毎年確定申告を行い、税金還付を受けている人もいます。住宅ローンを組むことで家計に大きな負担をかけることになりますが、減税制度を上手に利用して、少しでも家計負担をラクにしていきましょう。

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