iemiru コラム vol.273
注文住宅の費用は平均3,000万円…でも、それで満足できますか?
費用をかければ満足できるわけでもないのが注文住宅の難しいところ
住宅金融支援機構によるフラット35利用者調査(2017年度)によると、注文住宅と土地付き注文住宅を選んだ人は合わせて49.4%と、約半数近くになっています。 あらかじめ仕様が決まっていて、その中から選択するしかない建売住宅やマンションと違い、注文住宅は「いくら費用をかけるか」・「どこに費用をかけるか」という点に自由度がある反面、「贅沢に費用を掛けたからといって、ポイントがずれていると住みづらく、満足度の低い住宅になってしまう」という恐れもあります。 そこで今回は、 ・注文住宅の平均的費用は? ・予算によって完成する住宅はどのように違うのか? ・具体的な費用の明細 ・費用を抑えて満足度を上げるテクニック などについて詳しく解説していきます。 注文住宅を検討中の方だけではなく、建売住宅を考えている方にとっても比較検討の際に参考にしてみてください。
注文住宅の平均的費用
注文住宅の建築費の平均は3,300万円
住宅金融支援機構によるフラット35利用者調査(2017年度)によると注文住宅の建築費の平均は3,359万円となっています(建物のみ)。 ちなみに建築費とは、 本体工事費・・・建物の本体にかかる費用。基礎、構造、造作工事費の合計 付帯工事費・・・外構設備にかかる費用。造園、配管、地盤整備費の合計 この2つを合計した金額を指します。 県別での平均建築費を見ると、最も高いのは東京都で3,936万円、最も低いのは鹿児島県の2,824万円(島根県は2016年のデータが最新で、2,514万円)となっています。
床面積の平均は100㎡~130㎡(30~40坪)
同じくフラット35利用者調査(2017年度)で床面積の平均を調べてみると、全国平均は128.2㎡となっており、県別では最大が山形県の141.6㎡、最小が山口県の115.5㎡となっています。
予算別注文住宅の中身
平均的な費用と床面積がわかったところで、実際のリアルな予算額ではどのような住宅ができるのでしょうか。 予算額別に見ていきます。
1,000万円台:無駄を省いて極限までシンプルに
平均的な予算の約三分の一である1,000万円では、無駄と思われる部分は限りなく省いていかなくてはなりません。 まず外観や間取りに関しては、できる限り真上から見て長方形や正方形となるようなシンプルなデザインであることが求められます。外観がL字型やコの字型になっていたり、出窓やベランダが多く凸凹のあるデザインだったりすると、「表面積」が増えます。表面積が増えれば、その分、貼り付けるタイルなどの外壁材が増え、施工する手間がかかってしまうことで人件費も増えてしまうからです。 内装に関しては、フローリングは無垢の木材ではなく合板材を、壁も漆喰などの塗り壁ではなくビニルクロス貼りがメインとなります。 ただし、シンプルというのは悪いことばかりではありません。余計な装飾がないのでどんなインテ リアでも合わせやすく、カーテンやカーペットで部屋の雰囲気をガラッと変えられるというメリットもあります。
2,000万円台:一点豪華主義が可能になる
2,000万円台になると1,000万円台では我慢を強いられていた、外壁にタイルを貼ったり、バルコニーや出窓の数を増やしたりするなどといったことが可能になってきます。 また、キッチンやバスルームに最新式の設備を導入するといった「一点豪華主義」も実現できます。例えば、システムキッチンのグレードを上げたり、ミストサウナを付けたりといった感じです。 ただし、すべての希望を叶えるには予算が足りないので、メリハリをつけた予算配分が必要となってきます。
3,000万円台:ある程度の希望が叶えられる平均的予算
注文住宅の全国平均費用に近い3,000万円台は、ある程度一般的な希望を叶えることができ、外観や間取りの自由度が生まれてくる予算です。 特に都心部などは敷地が極端に狭かったり、いびつな形状をしている土地が多く、長方形や正方形のデザインでは土地の無駄が多くなってしまうのですが、3,000万円台の予算があれば敷地の特徴を有効活用した住宅を建てることができます。 また内装に無垢材などの天然素材を使用したり、他の予算を抑えれば床暖房を入れたりすることも可能です。
4,000万円台:こだわりの家が実現可能
4,000万円台になると予算にかなりの余裕ができ、様々なプラン、希望が実現可能となってきます。 デザインや使用する素材にもほぼ制限がなくなり、吹き抜けやスケルトン階段など自分や家族のこだわりを存分に反映できます。 また130㎡(40坪)でこの予算ということは坪単価100万円を超えてくることとなり、大手ハウスメーカーに発注することも視野に入ってくる予算と言えます。
ローコスト住宅に不安はないか?
一般的に坪単価が40万円以下で建てる住宅を「ローコスト住宅」といいます。 100~120㎡(30坪強)の家を1,000万円前後で建てられる計算です。 ローコスト住宅というと耐久性や信頼性に問題があるのではないかと不安に感じる方もいると思います。 しかし、シンプルなデザインや間取りを採用し、建材なども多くの住宅で共通のものを使うことで一括大量購入を可能にしてコストを下げるなどの工夫をしており、決して「安かろう、悪かろう」という住宅ではありません。 もちろん豊富な予算を必要とする大手ハウスメーカーのように「あれもこれもOK」というわけには行きませんが、ローコストハウスメーカーには「耐震・断熱・省エネ住宅」や「標準仕様を多数展開している」といった「一芸に秀でた」会社が多いのも事実です。 「掛けられる費用に限りがある」・「建築費用を抑えてインテリアにお金を掛けたい」といった場合には、ぜひローコスト住宅も検討してみてください。
土地&建物 費用の内訳
最低でも1,000万円近くはかかる費用ですから、「いつ」・「何に」お金が出ていくのかを知っておく必要があります。 ここでは土地の購入と建築にかかる具体的な費用を紹介します。
土地の購入時
土地を購入する場合、ローンで支払う金額の他に、以下のような費用がかかります。 ・手付金:物件価格の5~10% ・物件残余金:物件価格-手付金-住宅ローン借入金 ・購入諸費用(印紙税・仲介手数料):土地代金+建築費用の6~10%
建築時
建築時の費用は、契約時、棟上げ時、引き渡し前の3段階に分かれて発生します。
契約時
・工事契約金 ・建築確認申請費 ・着工金 ・地鎮祭費用
棟上げ時
・中間金 ・棟上げ式費用
引き渡し前
・建築費残余金 ・登記費用
ローン借入時
ローンの借り入れをするためには事務手数料の他、印紙税や保証料、抵当権の設定費用などがかかります。
注文住宅コストダウンのテクニック
設備や資材にメリハリをつける
最新のシステムキッチンにミストサウナ付きのお風呂、床暖房完備というように、すべての設備をふんだんに盛り込むためには高い費用がかかります。 そこで自分や家族の希望に優先順位をつけ、高順位の設備だけを採用するようにします。 また床材なども「リビングだけは無垢のフローリングにし、後はクッションマットにする」といったようにメリハリをつけることがコストダウンのコツです。
複雑なデザインにしない
前述のように、複雑な形状の家は手間と建材が余計にかかり、コストアップにつながります。 そこでできる限り長方形や正方形のシンプルなデザインにしてみましょう。
壁を少なくする
壁が多いとその分使用する建材が増え、費用がかかります。 そこでできる限り間取りをシンプルにして壁や廊下部分を少なくします。 間取りについてはPCやスマホで使える無料の間取りフリーソフトがあるので、それを利用してシミュレーションをしてみることをおすすめします。
水回りをまとめて配管工事費を節約する
トイレやお風呂、台所など水回りの設備が必要な場所を分散させると、その分配管工事が増え、複雑になり、コストがアップしてしまいます。 この問題も上記した間取りフリーソフトなどを利用して、できる限りまとめることにチャレンジしてみてください。
住宅ローンは『20%』がキーワード
頭金は20%が理想 最低でも10%は用意しよう
最近は低金利政策の影響もあり、「頭金0でも住宅ローンが借りられます」という話もよく聞きます。 しかし、それはあくまでも「借りられる」というだけであって、やはり理想的には総予算の20%、最低でも10%程度の頭金は用意しておきたいところです。 というのも金融機関は住宅ローン契約者の「信用」に対してお金を貸すわけです。 したがってある程度の頭金を用意できるような人は「計画性がある」と判断され、ローン審査が有利になります。 また信用状況が良好な人には優遇金利が適用される場合もあります。 頭金が多い分にはデメリットは全くありません。ぜひ20%を目標にしてください。
総返済負担率は20%程度に抑えよう
総返済負担率とは世帯年収における返済額の割合のことをいいます。 「総返済負担率=年間返済額÷世帯年収」 という計算式で算出します。 ちなみに住宅金融支援機構によるフラット35利用者調査(2017年度)によると、総返済負担率の全国平均は21.2%となっています。およそ年収の2割が年間の返済額というわけですね。 そこで年収600万円世帯の返済月額を計算してみると、 6,000,000×0.2÷12=100,000円 月々10万円の返済額が妥当ということになります。
注文住宅の費用に関する注意点
工務店・ハウスメーカー・設計事務所で違う設計費
工務店の場合は設計料として工事費の2~5%ほどの金額が契約書に計上されますが、ハウスメーカーの場合は総額の中に含まれており、表立っては出てきません。 また設計事務所の場合は工事費の10~15%ほどを設計監督料として請求します。 このように設計・施工を依頼する先によって設計費の額や扱い方が変わってくるため、注意が必要です。
延床面積の解釈で坪単価は上下する
よく「うちは坪単価○○万円で家が建てられます」と広告を打っているハウスメーカーや工務店がありますが、この坪単価、延床面積の解釈で大きく上下するので注意が必要です。 というのは、玄関のポーチや吹き抜け部分、ベランダなどを延床面積に含めない会社と、含める会社があるからです。 含めた場合は分母である延床面積が増えるので、坪単価は下がります。 坪単価の安さはアピールしやすいので、どの会社も少しでも安く見せようと工夫をしてきます。 必ずチェックするようにしましょう。
費用よりも自分と家族のツボにハマる事が大切
たとえ4,000万円以上の費用をかけてあらゆる設備を盛り込んだ家を建てても、それが実際に住む自分や家族のニーズから外れていれば、ライフスタイルに合わず、ただの無駄遣いとなるだけです。 それよりも家族の本当に求めている「ツボ」にピタリとハマる家を作り、余った費用はインテリアの購入資金や新居での新生活の充実に使ったほうが、幸福度は高くなります。 無駄のない、ライフスタイルに合った注文住宅造りを心がけましょう。
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