iemiru コラム vol.293
睡眠の質を向上させる寝室のレイアウトづくりとは
寝室のレイアウトって大切?
質の良い睡眠を取ることが出来るかどうかは、寝室のレイアウトが関係しているって知っていましたか?もちろんレイアウトだけが全てではありませんが、レイアウトによってなんとなく落ち着かない空間になったり、寝付きが悪くなる空間になることがあります。 ここでは、心を落ち着かせてリラックスできる寝室を作るには、どんなポイントに注意すればいいのかをご紹介していきます。
人生の1/3を過ごす場所
リビングやキッチンにいるときのように、起きて何かをしているわけではないので、あまり実感がないかもしれませんが、寝室は人生の1/3を過ごす場所と言われています。 寝室で過ごす時間が長いことや睡眠が人体に与える影響を考えると、寝るだけだからレイアウトにはあまりこだわらないと軽視するのではなく、その日の疲れをリセットし次の日も活動的に生活するために、リラックスできる空間でしっかり寝て、スッキリ目覚めたいと思うのではないでしょうか。
寝室の雰囲気が睡眠の質に影響する
上質なホテルの部屋では、ゆったりした気持で過ごすことができたり、よく眠れて翌朝スッキリ目が覚めたというような経験をされた方もいるのではないでしょうか。このように、空間の雰囲気が人の心や体に与える影響は大きく、睡眠の質にも関わっています。 寝室の雰囲気はインテリアの色や素材、照明の明るさ、香りなど、五感で感じる全てのものが作り出しています。 これらのバランスを考えながら落ち着ける空間を作ることができれば、良質な睡眠を取りやすくなります。早速、具体的な方法を見ていきましょう。
寝室のレイアウトを考える3つのポイント
寝室のレイアウトを考える上で大切なのは、決められた部屋の条件に対してどんなレイアウトにするかです。これから自宅を注文住宅で建てようとしている場合は別ですが、分譲住宅やマンションを購入した場合は、既に部屋が完成し広さや方位などの条件が既に決まっています。 リラックスできる寝室を作るには、これらの条件にどのように合わせてレイアウトを考えていけばいいのでしょか?
部屋の広さ
まずは部屋の広さから考えていきます。夫婦の寝室として7帖以上の広さがあることが理想です。これは、寝室で使う家具の種類と大きさが関係しています。 シングルベッドの大きさは、幅100cm×奥行き200cm×高さ30cm、Wベッドの大きさは、幅140cm×奥行き200cm×高さ30cm、サイドボードテーブルの大きさは、幅45cm×奥行き45cm×高さ55cm程度が目安です。 寝室に必要な家具を置き、ベッド周りに人が通れるスペースを確保したり扉を開閉するときに家具と干渉しないようにする。又、バルコニーがあればバルコニーまでの通路を確保することなどに配慮して家具をレイアウトしていくと、寝室に必要な広さが把握できます。
窓やクローゼットの位置
窓やクローゼットがある位置でベッドを置く位置も決められてきます。冬の時期窓の近くに行くとヒンヤリとした空気を感じると思います。これは窓から外気が入り込みやすかったり、外の冷たい空気が伝わりやすいためです。 眠っている間に冷たい空気の影響で体調を崩すこともあるので、ベッドは窓際を避けてレイアウトすることをおすすめします。 クローゼットの位置とベッドの位置関係で注意する点は、両方がストレス無く使えることです。クローゼットの扉が開き戸や折れ戸の場合は、扉が可動するためのスペースを確保する必要があるので、クローゼットにベッドを寄せてレイアウトすることは避けましょう。 場合によっては、寝室として使う部屋を変更することも視野に入れて検討することもおすすめです。快適に眠れて、クローゼットなどの機能がスムーズに使える環境を考えて家具のレイアウトを決めましょう。
ベッドの大きさ
寝室が始めから余裕のある広さの場合は別ですが、ほとんどの場合は寝室の広さに合わせてベッドの大きさを検討する必要があります。 例えば、7帖の広さの寝室でシングルベッドを2つ並べて使おうとした場合、ベッドを置いただけで部屋がいっぱいになってしまい、窮屈な空間になってしまいます。そのためこの場合、Wベッド又はクィーンベッドを選択することになります。 これから自宅を建てようと計画している場合は、使いたいと思っているベッドなどの家具のサイズを把握し、快適な寝室が作れる広さでプランニングしましょう。
覚えておきたいベッドの配置方法
快適な睡眠を取るためには、ベッドの配置にも気を配りましょう。ベッドの配置が悪いと、気分が落ち着かなかったり、体調を崩しやすくなるなどの問題が出てきます。 どんなところに注意すればいいのか、ポイントを3つご紹介していきます。 今使っているベッドの配置がポイントに当てはまらない場合は、改善することをおすすめします。睡眠に快適な環境を優先したレイアウトをしてみましょう。
頭部が壁になるように
枕元は壁に接している方が精神的に落ち着き、体調面にも配慮されたレイアウトです。 紹介したように、窓の近くは外気の影響を受けて空気が冷たくなります。布団を掛けていない頭から首元が冷えて熟睡できなかったり、風邪を引きやすくなることもあります。又、頭部周辺が守られていないような気分になり、人によってはベッドに入っていても落ち着かないという感覚になることがあります。 枕元が壁に接したレイアウトにすると、外気の影響を受けにくくなります。冷たい空気や暑い空気を体に感じることもなく、空調の設定温度より寒く感じたり熱く感じることも少なく、快適に寝ることができます。
ベッドの周囲は余裕をもたせる
ベッドの周囲は、適度なスペースを確保しておく必要があります。掛け布団はベッド自体のサイズより大きく作られているので、周囲にスペースがないと掛け布団にシワができてしまい、体に馴染んでくれません。そのため掛け布団と体の間に隙間ができ、冷たい空気が布団に入り込んで体が冷えてしまいます。 又、動線を確保する意味でもスペースを確保しておく必要があります。ベッドの左右には人が通れるように60cm程度空けておくといいでしょう。左右にスペースを確保できない場合は、片側はベッドメイクしやすいように10cm程度隙間を空け、もう片方は必ず人が通れる空間を確保するようにしましょう。 普段ベッドを利用する際も使いやすく、災害時には素早く避難ができるレイアウトにすることを心掛けておきましょう。
ドアから見られないところに置く
ベッドから部屋の扉が見えていると、なんとなく誰かが入ってくる気がしたり、見られているような気になって、落ち着いて寝ることができなくなる場合があります。自分では気にしていないつもりでも、ストレスを感じていることもあるので、扉を開けるとすぐ正面にベッドがあるレイアウトにしたり、扉のすぐ横にベッドを置くことは避けましょう。 なにかに気を取られることなく、寝ることに集中できる寝室を作ることが肝心です。どうしても扉が見えるところにしかベッドが置けない場合は、目隠しになるような家具を利用したり、パーテーションを使うなどで工夫してみましょう。
寝室には何を置いたほうが良いの?
寝室の理想は、ホテルのように物が少なくシンプルな空間ですが、生活する空間で同じ様に実現するのは難しいのが現状です。 快適な睡眠を取ることと、防災の観点から見たときに、寝室にはどんな物を置いた方が良いのかご紹介していきます。
極力物は置かないこと!
リラックスして寛げる空間を作るには、部屋が整っていることが大切です。物が多く、視覚から入ってくる情報が多いと、ゆったりとした気持ちになりにくくなります。 寝室は、寝るためだけの空間として考えて、極力物を置かないようにしましょう。例えば、寝るためには関係のないデスクを置いてしまうと、机の上の物が気になったり、物が散らかりやすい状態になり、寝ること以外に意識が向いてしまいます。 スムーズに寝付ける落ち着いた雰囲気の空間を作るためには、極力物を置かず掃除や整理整頓がしやすくなる空間を心掛けましょう。
間接照明
室内の明るさは睡眠と深く関係しています。人間の体は光によって生体リズムの切り替えが行われます。朝日を浴びると体が目覚めるのはそのためです。 寝室に適した照明は、間接照明を使ったオレンジ色の温かみを感じる優しい明るさの照明です。 これは、人の体が夕焼け色を見るとリラックスモードのスイッチが入るためです。 寝る前に読書をする場合などは、部屋全体を明るくするのではなく、手元だけを明るくできるスタンドなどを活用して必要な明るさを確保しましょう。 寝室には、まぶしい明るさのものやオフィスや教室で使われているような青みが強い光は向いていません。又、光源が直接目に入ることも睡眠の妨げになります。照明計画を考える際は、レイアウトを考えるときと同じ様に、眠りを中心に検討しましょう。
防災バッグ
暗い中で地震などの災害が起きた際に、すぐに身の安全を図れるように準備しておくと安心です。寝ているときに災害が起こった場合、防災バックが近くにないとガラスの破片が散乱した部屋を移動して取りに行く必要があったり、停電が起こり、暗い中探さなくてはならないなど、一刻も早く避難したいのに防災バックを探すことに時間がかかり、命にかかわる危険が高まることも考えられます。できればベッドの上にいる状態で、手が届く範囲に防災バックを置くようにしておきましょう。
寝室に置かないほうがいい物
寝室に置かないほうがいい物は、睡眠を妨げる原因となる物です。前項で紹介したように寝室には極力物を置かないことが理想的ですが、日頃の習慣や収納スペース確保のため、睡眠に関係のない家具をどうしても置いてしまっている家庭もあるかもしれません。 寝ているのに、次の日の朝疲れが取れていなかったり、ベッドに入ってもなかなか寝付けないない場合は、寝室に置いている物に問題があるのかもしれません。ぐっすり寝るためには、寝室に置かないほうがいい家具があるので、覚えておきましょう。
テレビ
テレビは、見たくなくてもあると何となくスイッチを入れてしまい、ダラダラと見続けてしまい睡眠時間が減るだけでなく、寝る直前まで頭が働きリラックスできない状態が続くので、質のいい睡眠を取りにくい環境になります。 本人は、テレビを見て楽しみながらリラックスしているつもりでも、実際はテレビから流れてくる情報で脳が働き続け、ブルーライトの光が寝るモードのスイッチに切り替えにくい環境を作っています。 寝室にテレビを置かないことが理想ですが、1ルームの部屋に一人暮らしで、ベッドとテレビを同じ空間にしか置けない場合は、インテリアを優しい色合いで揃えるなど、できる範囲で良質な睡眠が取れるように心掛けましょう。
収納棚
ガラス扉が付いている棚やオープンラックのように、何が収納されているのか見える収納棚の場合は、見ようとしていなくても収納棚が目に入ることで様々な情報を得ることになり、脳が働き続けます。すると、リラックスしにくく良質な睡眠が取りにくい状態になってしまいます。 また、寝ている間は無防備な状態です。タンスや本棚など背の高い収納棚の場合は、災害時に転倒の恐れがあるため危険です。寝室に置くことは避けましょう。
鏡
ベッドで横になったときに鏡に映る姿が気になったり、夜中にトイレで起きたときに鏡に映る自分の姿に一瞬ドキッとした経験がある方もいるのではないでしょうか?このように鏡は、心理的な部分に作用することで睡眠を妨げる原因になります。 どうしても鏡を置く場合は、カバーを掛けたり向きを変えるなどで対策しましょう。
寝室をリラックスできるレイアウトにしよう!
インテリアやレイアウトの良し悪しで室内の雰囲気は全く違った印象になります。寝室は、リビングのように寛いだり、テレビなどの娯楽を楽しむような多目的な空間ではなく、寝るための空間と捉えて環境を整えていくことが大切です。 ポインを押さればどんな寝室も心地よい空間に改善していくことができます。今回ご紹介したことを参考にして、良質な睡眠が取れる寝室作りに役立てて下さい。
寝室は明日の活力を養う大切な場所
寝室は、良質な睡眠を取り、気力と体力を回復させるための大切な空間です。リラックスできて、快適な睡眠が取れることを優先して室内環境を整えましょう。 眠れればなんでもいいという考えではなく、質の良い睡眠を取り、朝起きたときに気持ちよく目覚めることができる寝室を目指しましょう。
寝室となる部屋を選ぶことも大切
理想的の寝室を作るには、様々なことに気を配る必要があることがわかったと思います。良質な睡眠を取るのに適したレイアウトには、なぜそのレイアウトが適しているのかきちんとした理由があります。 そのため、レイアウトが整えば理想的な寝室に近づけることができます。現状の寝室では快眠のための条件をクリアすることが難しい場合は、別の部屋を寝室として使うことも検討してみてください。
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