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iemiru コラム vol.374

住みやすさを向上させるフィトンチッドの秘密を詳しく解説!

フィトンチッドとは木々が放出する香り成分のこと。森林浴は、このフィトンチッドという成分のおかげで癒し効果を発揮しています。 そしてフィトンチッドは、木が切られて形が変わっても放出されるため、住宅の建材やインテリアとして住環境に取り入れることで、私たちの暮らしに様々なメリットをもたらします。 今回は、そんなフィトンチッドの効果・効能、また住宅へのフィトンチッドの取り入れ方を詳しくご紹介していきます。

大注目の新成分!フィトンチッドとは

フィトンチッドは住環境に優れたメリットがあるため、大変注目されている成分のひとつです。フィトンチッドはどんな成分でどのように生み出されているのでしょうか?

フィトンチッドは植物の香り成分

フィトンチッドという名前は、ロシア語でphyton(フィトン)=植物、cide(チッド)=殺すという意味です。フィトンチッドは木々が自らの体を細菌から守るために放出している揮発性物質。植物の体内に侵入しようとする有害な細菌や昆虫類を死滅させる働きがあります。 森の中にある動物の排泄物や死骸・カビなどが蔓延せず、常に浄化されているのはこのフィトンチッドの作用によるものです。 木々にとっては自己防衛のために作り出している物質ですが、人間にとっては有益な効果を発揮してくれる優秀な物質です。

森林浴の効果はフィトンチッドが由来!?

森林の香りは、フィトンチッドそのものと捉えてよいでしょう。森林浴をすると、その香りや澄んだ空気によって癒し効果があるのはフィトンチッドのおかげです。フィトンチッドは木の幹や枝で作られ主に葉から排出されます。 日本では昔から木の香りや効能を住宅に生かしてきた歴史があります。ひのき風呂やくすのきのタンスなどは、それぞれの木の特質が活かされています。優しい自然の風合いがリラックスをもたらすだけでなく、カビを予防したり消臭効果を発揮していることも、フィトンチッドの性質によるものです。

フィトンチッドがもたらす3つの効果

注目すべきフィトンチッドの効果は主に3つあります。 ●菌や微生物を死滅させる殺菌・抗菌効果、ダニやシロアリなど昆虫類の繁殖を抑える防虫効果
●有機物の腐敗臭などを無臭の物質に変える消臭・脱臭効果
●脳の興奮を抑えて気分を落ち着かせるリラックス効果
これらの効果を詳しくご説明します。

殺菌作用

日本ではまな板やお皿にヒノキが使われたり、柿の葉寿司や笹団子など葉で食べ物を包む文化があります。これは木や葉に含まれるフィトンチッドの殺菌効果を利用しています。 フィトンチッドは木自身が細菌によって腐敗したり虫などによって食い荒らされることを防ぐために放出されています。そのため、フィトンチッドには殺菌・抗菌効果、また防カビ・防虫効果などがあります。 フィトンチッドは強い殺菌効果があっても、人間には無害なので、生活に取り入れやすいメリットもあります。

消臭・脱臭作用

森林の空気が綺麗で香り豊かなのは、フィトンチッドの消臭効果によるものです。フィトンチッドは臭気物質と接触すると化学反応を起こして無臭物質に変化させる働きがあります。そのため、森の中に漂っている腐敗臭や排泄物臭、汚水臭などが全くないのはフィトンチッドの働きによるものです。 また、フィトンチッドが放つ芳醇な香りは、空気中に漂っている臭気物質を感じさせなくする効果もあります。アロマやハーブのように植物精油として使われることもあります。

リラックス作用

森林を散歩すると気分が落ち着き、体が軽くなります。その理由は、森林でフィトンチッドの香りに触れると、気分がリラックスする効果があるためです。 フィトンチッドには、脳の落ち着きを促す周波数「アルファ波」を増加させる働きがあります。アルファ波が増えると精神的に安定するだけでなく、自律神経のバランスを整えたり、内臓機能の働きを良くする作用もあります。フィトンチッドは心身共に良い影響をもたらしてくれるのです。

住宅づくりでもフィトンチッドが大活躍!

フィトンチッドには様々な効果がありますが、この特性を住宅に活かすことで私たちの生活に心地良さと暮らしやすさをもたらしてくれます。

木材になっても効果は変わらない

フィトンチッドは伐採されて住宅の建材やインテリアの部材になっても、木の内部に存在します。根から切り離されたら効果を失うのではないかと思いますが、木が切られた後は成長が止まるだけで、水分を吸ったり成分を放出したりと活動が止まることはありません。 例え住宅の一部になっても、湿度や温度によって膨張と収縮を繰り返し、フィトンチッドの香りを漂わせてくれます。

フィトンチッドの効果が生活の悩みとリンクしている

フィトンチッドは暮らしの中で起こりうる様々な悩みを解決する力を持っていると言えます。 ●家ダニの繁殖を抑制する防虫効果
●カビの増殖を抑制する防カビ効果
●ホルムアルデヒドなどの有害物質を中和する効果
小さい子どもがいると特に気になる「ハウスダスト」。ダニやカビ・ほこりなどが室内の空気を汚染することで引き起こされますが、フィトンチッドの力でこれらの原因物質を低減することができます。 ●細菌やウイルスの除菌・抗菌効果
●鮮度を維持し腐食を遅らせる防腐効果・抗酸化作用
フィトンチッドは、有害な菌やウイルスを殺菌し増殖を抑える働きがあります。例えば、風邪やインフルエンザウイルスが家族に感染することを予防したり、食中毒の予防にも効果的です。 フィトンチッドはあらゆる葉や木に存在しているため、お茶のカテキン、しそ、わさびなど馴染みのある食材にも含まれています。ヒノキのまな板やテーブルがよく使われるのも、菌が繁殖しにくい素材だからです。 ●トイレの消臭
●たばこの消臭
●キッチンやリビングの消臭
フィトンチッドは様々な嫌なニオイを無臭化する働きがあります。「スプレーしても何となくにおう」「消臭剤が効かない」など、どこからともなくにおってくる生活臭の原因は衣類や布製品だけでなく、壁や天井、また空気そのものに含まれています。 住居の壁やインテリアに天然木を使うことで、まるで森林浴をしているかのような快適な空間に保ってくれます。

インテリアとしても最適!

木は香りだけでなくその風合いも人の心をリラックスさせます。フィトンチッドの影響だけでなく、五感を通して気分を落ち着かせる効果があります。木材そのものの自然な色味や肌触り、温もり、蓄積された香ばしい匂いなどすべてが影響します。 さらに、木材は除湿効果などの優れた性能を持っています。例えば、木には水分を吸収する働きがあるため、室内の余分な湿気を吸い取り最適な湿度に保ってくれます。 また、天然木のインテリアは、傷がついても復元しやすい性質があります。ヤスリで削ったり熱湯をかけて傷や凹んだ箇所を修復できます。そして使えば使うほど味わい深く、オリジナリティのある風合いに変化してくれることも魅力です。

フィトンチッドが溢れる住宅のメリット

木造建築をはじめとする、木を利用した住宅にはどのようなメリットや効果があるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

快適な室温を保ちやすくなる

「コンクリートは冷たく、木は暖かい」という感覚は、住宅でも同じです。外の気候や室内の温度は変わらないのに木の家のほうが暖かく感じるのは、木が持つ断熱効果のおかげです。 鉄やコンクリートは熱の伝達度が高く、人の体温を奪いやすいため、触るとヒヤっと冷たく感じます。一方で、木材は体温を奪いにくいため、触ると体温と同じあたたかさを感じられます。 こういった原理から、タイルのフローリングは足が冷たくなりますが、無垢のフローリング(丸太からそのまま切り出した木材製)は、冬に裸足でもほとんど冷たく感じません。 また、木の内部には少量の空気が含まれているため、温度を保ちやすい性質があり、断熱性に優れています。壁や床に自然木を使うと、家全体の表面温度を適度に保ってくれるため、室内の体感温度が高くなります。

結露によるカビの繁殖を抑制

木材は湿気を吸収する働きがあります。無垢のフローリングは湿気が多い時も足がベタベタせずに、じめっとした梅雨も快適に過ごせます。 そのため、高温多湿の環境である日本では木造住宅が重宝されました。木は空間に湿気があるとどんどん吸収し膨張します。すると、住宅の木材部分や木でできている家具は密閉率が高くなり、余計な湿気が入り込まないようにしてくれます。昔から使われている桐のタンスはこういった桐の除湿・防湿効果を利用しています。 室内の湿度を快適に保ってくれると、結露が起きにくくなるため防カビ効果も発揮します。また、湿気を除去するだけでなくフィトンチッドの防カビ効果も期待できます。

シックハウス症候群が起こりにくい

シックハウス症候群とは、住宅における室内の汚染された空気が人体に影響を及ぼし、鼻水、のどの痛みや激しい咳、吐き気、湿疹、頭痛などの諸症状を引き起こすアレルギーのひとつです。 空気を汚染する物質は多くあります。 ●ホルムアルデヒドなどの有害化学物質
●ダニ
●ほこりやちり
●ペットの毛
●カビ
ホルムアルデヒドをはじめとする化学物質は、建材に使用される接着剤や塗料に含まれています。その他、家具やカーペットから検出されている例もあります。 上記で挙げたシックハウスの原因物質は目に見えにくいため、免疫力の高い大人は気づきにくく抗体が少ない子どもが敏感に反応することが多い病気です。そのため、日頃から意識してできる限り除去する必要があります。 フィトンチッドは、このようなシックハウスの原因になる汚染空気を浄化する効果があります。ホルムアルデヒドなどの化学物質と中和し、ダニやカビの増殖を抑える働きがあります。また、病原菌を除去する作用もあるため、病気全般の予防対策にも効果的です。

自宅がよりリラックスできる空間に

仕事の疲れが溜まっていたり、些細なことでイライラするなら、フィトンチッドが精神的な癒しをもたらしてくれるかもしれません。フィトンチッドにはリラックス成分やリフレッシュ成分が含まれています。ハーブやアロマの香りを嗅ぐと気持ちが落ち着く原理とほぼ同じですが、フィトンチッドは香りがあるものとないものがあります。そのため、ニオイを感じなくともフィトンチッドの効果は働いています。 フィトンチッドには、精神安定・疲労回復・睡眠促進・鎮静作用・血流回復などの効果があります。自律神経を整えたり、疲れの原因である活性酸素を除去してくれるため、心だけでなく体の健康にも良い影響があります。 ヒノキ風呂が体に良いのは、ヒノキの香りによるリラックス効果もひとつの要因ですが、フィトンチッドによる疲労回復効果もあると言われています。

覚えておきたいフィトンチッドとコストの問題

フィトンチッドは天然木に由来する

フィトンチッドは木からそのまま切り出した木材に由来します。しかし近年では、価格が安い合板が使われることがほとんどです。合板は加工がしやすく、ツルツルなニスを塗ればメンテナンスが必要なく使い勝手が良いことが特徴です。ところが、薄い木を接着剤で張り合わせてニスを塗った木材は、木が呼吸できずフィトンチッドが排出する隙間がほとんどありません。 フィトンチッドの効果を実感できる住宅にするには、できるだけ無垢材つまり天然木を使用します。天然木は肌触りやぬくもりが合板とは全く異なり、なにより芳醇な木の香りがします。香りがするということはフィトンチッドが放出されている証拠です。

材料費や加工費などで施工費が高くなることも

ただ、天然木を使用するには高度な施工技術や知識が必要です。また天然木そのものも高く、切り出した木は幅が狭いため、合板よりも使用する枚数が多くなります。天然木を使用するうえで一番の問題になるのが「コストが高い」ことです。 天然木は、同じ樹種で合っても木目の形の違い、色の違い、反りや縮み方の違いがあります。また、湿気を吸った時の膨張率や乾燥した時の反り返りなどを、正確に予測して施工する必要があります。加工が難しく技術力が重要になるため、コストが高くなってしまうのです。 ただ、天然木は合板に比べて耐久性に優れています。ヒノキで作られた古いお寺などの木造建築が現存しているのは、しっかり施工すれば、使えば使う程に長持ちするからです。また、数年で劣化する合板とは異なり、天然木は年数が経つほど味わい深い風合いを出してくれます。 初期費用は高くなりますが、耐久性に優れ半永久的に使える天然木は費用対効果が良い建材と言えるでしょう。

フィトンチッドに囲まれた快適な生活を

快適な生活を実現できる優れた成分

フィトンチッドには暮らしを快適にする優れた作用があります。木の風合いや香りに癒されるだけでなく、木の成分には化学的に証明された効果があるのです。 生命として呼吸し、自分を守る本能で排出しているフィトンチッドですが、人にもあらゆる恩恵をもたらしてくれます。

家族の健康を住宅が守る

フィトンチッドは人体に有害なダニやカビを予防し、住居を清潔に保ってくれます。また、殺菌効果による食中毒予防、ホルムアルデヒドなどの化学物質を中和することで、シックハウス対策にもなります。フィトンチッドの力が作り出す快適な住空間によって、家族の健康を守ることができます。 フローリングやテーブル、カウンター、または天然木の家具をコーディネイトするのもいいですね。フィトンチッドの力を活かして、家族の健康と心地よさを大切にした住空間を作ってください。

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