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iemiru コラム vol.425

屋根材でなにが変わるの?材質ごとの特徴や重要性を徹底解説

屋根は丈夫で耐久性が高いほど、様々な衝撃や天災から守ってくれます。 台風や地震が多い日本では、雨風に耐え地震の揺れにも強い屋根材が必要不可欠です。本記事では、屋根材の種類と特徴、また住まいに合わせた最適な屋根材の選び方についてご紹介していきます。

屋根材の重要性

普段は目にする機会が少ない屋根ですが、安全で心地良い住まいには欠かせない建材のひとつ。屋根材は快適な暮らしに直結しています。 適切な屋根材を選ぶには、屋根の役割や重要性を認識することが重要です。災害が多い日本では屋根の防水性、断熱性、耐震性、耐風性、耐久性が求められます。

雨漏りを防ぐ

屋根の大きな役割は雨風を凌ぐこと。防水性のある屋根材を隙間なく敷き詰めることで、室内に雨が入り込むことを防ぎます。 仮に屋根に隙間が生じて雨が入ると、室内が水浸しになるだけでなく、カビを繁殖させたり建材の劣化を早める原因になります。快適な住空間を保つためには、まず雨漏りを防ぐことが最優先です。

耐震性にも影響を与える

住まいの耐震性を高めるためには、軽い屋根材を使います。屋根が軽くなれば支えとなる家の柱の負担が減るためです。また、屋根が軽くなれば家の重心を低く設計することができるため、揺れの影響を受けにくくなります。 反対に、重量が重い屋根材は耐震性が弱くなり、屋根が落下したり建物の全壊・半壊を引き起こします。

屋根材の主な種類

日本で使われる屋根材には様々な種類があります。代表的なものは瓦(かわら)ですが、最近では瓦よりもリーズナブルで扱いやすい屋根材や、軽量化することで耐震性を高めた屋根材も主流になりつつあります。 本記事では、国内で扱われることが多い4種類の屋根材をご紹介したいと思います。 ●瓦(粘土系)
日本住宅で使われる瓦屋根は、どっしりとした重厚感が魅力です。
●スレート屋根
板状の屋根材で様々な色があります。リーズナブルさがメリットです。
●ガルバリウム銅板
金属系の屋根材です。軽量で耐震性が高くデザイン性にも優れています。
●セメント系屋根
セメントで造られており形状は様々。瓦のような形をしているものもあります。
次の項では、上記4タイプの屋根材について詳しくご説明します。それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較してみましょう。

瓦(粘度系)

日本の屋根と言えば「瓦」が最初に思い浮かびますよね。瓦が一般住宅にも使われるようになったのは江戸時代中期。これまでの草葺き・板葺き屋根は火事の延焼を引き起こしやすいため、耐火性のある瓦屋根を推奨したことが普及したきっかけと言われています。

瓦屋根の特徴

瓦は粘土を焼いて製造されます。国内の粘土を使い日本特有の形をした瓦を、日本瓦と呼びます。厚手でどっしりとした見た目を持ち、滑らかな曲線とツヤのある漆黒の輝きがあります。重量のある材質なので、強い風や雨にも耐えられる強度を持っています。 日本瓦は、愛知県西三河で製造される三州瓦(さんしゅうがわら)が最も普及しています。次いで島根県の石川瓦は2番目に生産量が多く、洋風の住宅にも相性がいい赤い瓦が特徴です。 近年では「スパニッシュ瓦」と言われる、大きなカーブを描いた赤茶色の洋風瓦も人気です。

日本家屋には欠かせない屋根材

瓦は、最も日本の風土に合った屋根材と言えます。四季を通じて大きく気候が変化する日本でも、1年中快適な住空間を保つことができる高い断熱性を持っています。 断熱性が高い理由は主に2点あります。ひとつは、瓦の材質自体が熱を伝えにくい性質があること。例えば、窓ガラスは熱を伝えやすいため触るとヒヤっと感じます。これは、室内の温度をどんどん逃がしてる証拠です。対して、瓦は熱を伝えにくいため触ってもヒヤっと感じません。陽射しによって熱くならず、冬は冷気で寒くなりにくい素材なのです。 もうひとつの理由が、屋根の通気性です。瓦を何枚も重ねた屋根は、雨風が入らないよう密度の高い形状をしていますが、ほんの数cmの隙間ができるようになっています。この隙間に空気が入る込むことで断熱性を高めています。空気は熱を伝えにくい性質があるため、この空気層が熱伝導を妨げるクッションの役割を果たしています。 また、瓦は硬い陶器のような材質です。火に耐えられる不燃性であるため火事の延焼を防ぎます。さらに優れた耐寒性も併せ持つため、雪国でも使いやすい屋根材です。 このように瓦には様々なメリットがあり施工にも手間がかかるため、他の屋根材よりもコストが高くなります。㎡あたり8,000~12,000円ほどが相場です。しかし、耐久性が高いためメンテナンス費用やリフォーム費用が削減できるメリットがあります。

耐久性は高いが…

瓦の耐久年数は100年以上とも言われています。劣化が少なく色が剥げたりカビやコケの付着も心配ありません。強い衝撃にも耐えられる強度があります。ただ、その分重いことがデメリットです。瓦屋根を支えている柱の負担は大きく、地震による揺れに対して貧弱な側面があります。地震によって家が傾くと、重い瓦の屋根は一気に崩れて家の崩壊を招きます。 しかし、最近では瓦の軽量化が進み、耐震性が高い材質の瓦も多く出回っています。

スレート屋根

スレートとは粘板岩(ねんばんがん)という岩を指します。粘板岩は自然の力で強い圧力がかけられ薄く板状に固まった岩石のこと。垂直に薄く剥がれるため建築材料として幅広く使われています。 しかし、天然のスレートは大変高価であるため、一般的な住宅に使われているのは人工的に作られたスレートです。人工スレートはセメントに繊維質材料を混ぜて造られており、コストが安いことが魅力です。

スレート屋根の特徴

スレート屋根は、コロニアルやカラーベストとも呼ばれています。薄い板を並べた形状をしており、すっきりとシンプルなデザインが特徴です。色は石に似せたダークグレーが多く出回っていますが、表面の塗料を変えれば様々な色味やデザインを楽しむことができます。 洋風の建物と相性が良く、モダンな現代住宅では使いやすい屋根材です。 材質はセメントと繊維素材ですが、厚さが5~6mmと薄いため重量は瓦のわずか半分ほどしかありません。そのため屋根の負担が少なく耐震性に優れています。さらに断熱性・耐火性も備わっています。 しかし、耐久性が弱く、塗り替えなどの定期的なメンテナンスが不可欠です。 耐久性が低い理由は塗装にあります。主成分であるセメントには防水性がないため、雨水を防ぐために特殊な塗料を使っています。この塗料は、陽射しや雨水に晒されていると、少しずつ薄れる性質があるためです。

コストを抑えやすい

瓦などに比べるとコストが安いことが魅力です。㎡あたり4,500~8,000円前後で瓦と比べても半分の価格に抑えられます。しかし安価なだけあって材質は決して強固なものではなく、人の体重や積雪によって割れてしまうこともあります。 また、表面がザラザラした形状をしているため、雨水が滞留しやすくコケやカビが発生しやすい特徴もあります。

劣化部分が目立つ

スレート屋根はコストが安い分、劣化が早い特徴があります。メンテナンスは10年ごとに必要とされますが、気候や雨風の頻度によって劣化が早いこともあります。 スレート屋根は塗装が剥げると雨水が染み込みやすくなり、色褪せや汚れが目立ちだします。そのまま劣化を放置すると、傷みが激しくなり雨漏りの原因となります。さらに、雨漏りによる木材の腐食や天井の雨染みが起きると追加で費用がかかるため、早めの修理が望ましいとされます。屋根の塗装費用はおよそ20万~40万円が相場です。

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板(ガルバリウムこうはん)は1970年代にアメリカで開発された建材です。アルミニウムと亜鉛・シリコンから造られたメッキ鋼板で、亜鉛のガルバニックアクションというサビに強い犠牲防食作用を持つことから名付けられています。屋根材だけでなく外壁としても多く使用されています。

ガルバリウム鋼板の特徴

ガルバリウム鋼板の主成分はアルミニウムと亜鉛で約50%ずつ含まれています。見た目はトタンに近い形状をしていますがデザイン性や耐久性に優れているため、住宅の他デザイン建築などにも使われています。 国内の建物によく使われている主なメッキ鋼板は、トタン・ブリキ・ガルバリウム鋼板の3種類。それぞれ配合されている成分が異なります。玩具やバケツに使用されるブリキ、トタンはよく建物に使われますが耐久性が弱く最近では使われることが少なくなっていきています。その点、ガルバリウム鋼板はサビや色褪せに強い性質があり、住宅建材として大変注目されています。その耐久年数は約25~30年と言われています。

軽量でデザインが多い

住宅建材としてのガルバリウム鋼板は、ブラックやネイビー・ダークグレーなどのスタイリッシュカラーが多く使われます。表面は独自のメッキ合金によるマットな質感が上品さを際立てています。シンプルながらも高級感のある見た目を持つため、デザイナーズ住宅にもよく用いられます。 また、ガルバリウム鋼板は他の屋根材と比べて、軽い素材であることがメリットです。その重さはスレート屋根の約1/4、瓦屋根と比べると約1/7になります。そのため、屋根の重心を低く構えることができ、その分耐震性が高くなります。

断熱性や防音性が低い

金属の建材特有のデメリットもあります。軽量で薄い材質であるため防音性が低い特徴を持ちます。屋根に雨が当たると、他の屋根材よりも音が響きやすいことがあります。また生活音が外に漏れやすいため、ご近所への配慮やプライバシーの面からも防音対策が必要なケースもあるでしょう。 さらに、陽射しで鉄板が熱くなるようにガルバリウム鋼板は熱を伝えやすいため、断熱性が低くなります。住宅の建材として使用する際は、断熱材の併用が必要です。

セメント系

セメントと砂を原料とした屋根材です。形状は平らなものから瓦とそっくりなものがあります。これらはプレスセメント瓦やコンクリート瓦と呼ばれます。 色も形も瓦によく似ていますが、原料が粘土の瓦とは異なりコストが安いメリットがあります。

セメント系屋根の特徴

セメントとは、粘土や石灰・石膏などを水で練って作られた素材のこと。このセメントに砂を混ぜたものをコンクリートと言い、建築材料としてモルタルとも呼ばれます。形を自由自在に変えることができ強度もあることから、屋根や壁など様々な建材に利用されます。 道路に利用されているコンクリートは大粒の砂利が混ざっているためザラザラ・ボコボコしていますが、建築に使われるコンクリートには砂利を混ぜずに、滑らかで見た目も良い素材感を持ちます。

さまざまな形状に対応できる

セメント系屋根の特徴はデザインの汎用性が高い点です。瓦のような形をしているものをセメント瓦・コンクリート瓦と言います。瓦と同じ位の重さがあり重厚感があります。しかし、瓦よりも柔らかい質感が特徴で洋風の家にも馴染みやすいデザイン性があります。色も様々でブラウン系やレッド系のスパニッシュスタイルやブルー・グリーンと言った鮮やかな色も多く出回っています。 また、スレート屋根のように平らな形状もあります。このデザインは、スレートよりも厚みがあることに由来して厚型スレートと呼ばれます。しかし、本来のスレート屋根よりもどっしりとした雰囲気で高級感を演出してくれることが魅力。砂のザラザラした質感が自然な風合いを醸し出しています。

定期的なメンテナンスが必須に

見た目はしっかりしているセメント系屋根ですが、粘土瓦よりも耐久性が低く定期的なメンテナンスを必要とします。 セメント系屋根の表面には防水性を高めるため塗料を使用しています。陽射しや雨水を受けていると少しずつ塗料が剥げてくるため、一定の期間で塗料の塗り直しが必要になります。気候によりますが約15年程度で塗り直し、その先約30年で貼り替えや重ね貼りを行います。 メンテナンスを怠ると、セメントに混ざった砂がボロボロと崩れてきたり、ヒビ割れが起こります。防水性がなくなってくると雨水が浸透し、カビ・コケが付着しやすくなります。

最適な屋根材を選ぶポイント

屋根材には多かれ少なかれ寿命があります。屋根材を選ぶ際は、住まいの使用年数やメンテナンス周期を考慮するとよいでしょう。

使用年数から逆算する

将来には住宅を取り壊して新しい家に建て替える、または全面リフォームをする予定なら、屋根を貼り替える必要がありません。住宅の使用年数に合わせた耐久性のある屋根材が良いでしょう。

屋根材の耐久年数

●瓦…約60年
●スレート…約20年
●ガルバリウム鋼板...約30年
●セメント系…約30年 瓦屋根は初期費用が高額になりますが、耐久性がありメンテナンス頻度が少ないため長く住むなら瓦が最適でしょう。対して、将来的に住宅の建て替えやリフォームを検討しているなら初期費用が安いスレート屋根を導入し、メンテナンスのタイミングで建て替えを行えばコストを削減できます。

メンテナンス周期を考える

屋根のメンテナンスは足場を組むため、外壁やバルコニーなどの他の部分と同じタイミングでメンテナンスを行うと費用を抑えられます。「屋根の塗り直しは10年後で外壁の塗り直しは20年後」となると、コストも手間もかかるため、メンテナンス周期が似ている建材を採用すると良いでしょう。 外壁も屋根材と同様に種類が豊富で、塗料によってメンテナンス周期が5年~25年と幅広くあります。

最適な屋根材を選んで生活をより快適に!

屋根材によって住宅の性能が大きく変わります。普段はあまり目にすることがない部分ですが、快適な生活のためには最適な屋根材を選ぶことが大切です。

目的に合った屋根材を選ぶことが大切

屋根材にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、お住まいの風土やライフスタイルの合わせて選ぶことが大切になります。 耐震性が高い住宅にするなら、スレート屋根やガルバリウム鋼板など軽量で耐震性の高い屋根材がおすすめです。冬の寒さが厳しい地域では、断熱性の高い瓦やセメント系屋根が良いでしょう。また、気候に合わせて塗料の種類も変えたり、断熱材を併用することもおすすめします。

メンテンスの計画をきちんと作ろう

屋根材のメンテナンスは時期が来たら定期的に行うようにしましょう。修繕を怠るとヒビ割れや腐食が起こり、かえってコストが高くなります。長く快適な住まいを保つためには、定期的なチェックとメンテナンスが大切です。

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