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iemiru コラム vol.452

バリアフリー住宅は高齢者のためだけのものじゃない!今すぐ「安心・安全・快適」な家づくりを考えよう!

バリアフリー住宅とは?

「安心・安全・快適」に過ごせる家のこと

近年、耳にする機会の増えた「バリアフリー」というワード。
高齢者のためのもの、というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、そもそもバリアフリーとは、すべての人が安心・安全・快適に暮らせるようにバリア(障壁)を取り除くことを指しています。
わかりやすいバリアフリーの例としては、車イスや足腰の弱い人がつまずかないよう、部屋や廊下の境目に段差がない状態にしておくことなどが挙げられます。
高齢者や体の不自由な方、小さな子供から妊婦さんまで、家族全員が安心して暮らせる家がバリアフリー住宅なのです。

バリアフリー住宅は高齢になってから必要になるものではない!

「まだまだ元気だし、バリアフリーについては高齢になってから考えればいい」と思う方もいるかもしれません。しかし、老後にいざバリアフリーの工事を始めようとしても、高齢になるほど新しい設備への順応が難しくなるという問題もあり、精神的にも金銭的にも負担が一層重く感じられてしまうものです。そのため、バリアフリー対策は体が元気な働き盛りのうちからしっかりと備えておくのが得策だといえるでしょう。
そこで本記事では、バリアフリー住宅を検討する際のポイントや、おすすめのリフォームについてご紹介します!

バリアフリー住宅を考える際のポイント

体が弱くなってからも、自分の力で生活できる補助の設備を設置する

バリアフリー住宅の根幹には、自宅内での事故を未然に防ぎ、すべての人ができる限り自立して生活できるような住まいを作るという考え方があります。 住宅全体に取り入れたいバリアフリーの基本的なポイントとしては、 ・部屋間を移動する際の段差を取り除く
・体が不自由になったときに車イスで動けるようスペースを確保する
・部屋間の温度差が大きいと体への負担が大きいため断熱性を高める などが挙げられます。

よく利用する部屋はなるべくワンフロアにまとめる

住宅を新築するタイミングであれば、よく利用する部屋・設備をワンフロアにまとめると日常生活がスムーズになります。リビングとトイレ、浴室、ダイニングなどを同じフロアにすることで、移動時の身体への負担やストレスが少なくなるのに加えて、部屋間の温度差も小さくなるため急激な温度変化による体への負担を軽減することも可能です。

浴室におすすめのバリアフリー対策とは?

高齢になるにつれ、家の中で特に事故が起こりやすくなる場所が浴室まわり。住宅のバリアフリーを検討するとき、一番に考えたいポイントです。誰にとっても住みやすい住宅にするためには、水まわりの利便性がとても重要です。体が不自由になれば、濡れたフロアで滑ったり、浴槽をまたいだりする際に足がひっかかり転倒してしまう危険性があります。入浴介護が必要になるケースも多いため、浴室は入浴する人と介護する人が一緒に入れるようゆとりのあるスペースを確保しておくと安心です。
さらに、浴室では転倒以外にもヒートショックによる事故も多発しています(ヒートショック=急激な温度変化により血圧が大きく上下することで失神や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こし体へ悪影響を及ぼす現象)。それをふまえて、脱衣所と浴室に大きな温度差が生まれないよう配慮した設備が必要です。

入口はフラットで間口の大きい引き戸や折り戸がおすすめ

浴室の入り口は、段差をなくし間口を大きくとることが重要です。もしも浴室内で事故があった場合を想定すると、内開きのドアだと開閉ができなくなってしまう可能性があるため、新築・リフォーム時は引き戸や折り戸を選ぶようにしましょう。
また、引き戸であればスペースを有効に活用しやすいため車イスになった場合や介助が必要になった場合でも無理なく使用できるようになります。

水はけがよく滑りにくい床材にする

浴室内の床材は、転倒やヒートショックを防ぐために滑りにくく冷たくなりづらいタイプのものを選びましょう。古い住宅に多いタイルの床は濡れると滑りやすくなり、足腰が弱まってくると転倒の危険性が高まります。
また、タイルは表面が冷たいため浴室全体の温度が下がりやすくなり入浴時にヒートショックを引き起こす原因にもなりかねません。浴室の床材には、滑り止め機能付きや断熱性の高いもの、転んでもダメージを最小限に抑えられるようクッション性が高く水はけの良い素材のものを選ぶのがおすすめです。

複数の手すりを配置する

浴室内での転倒を防ぐため非常に重要なのが、適切な場所に手すりを取り付けることです。出入り口付近、洗い場の横、浴槽の内部など、入浴時の動作を想定しながら手すりの必要な場所を考慮して、設置するようにしましょう。

ヒートショック対策も忘れずに

入浴中の事故を引き起こすヒートショック。
対策としては、暖房等を設置し脱衣所と浴室内の温度差をできる限り小さくする必要があります。脱衣所にはエアコンや床暖房を、浴室内には浴室乾燥機などを設置して、使用前に両方をあたためておくことで急激な温度変化をなくすことが大切です。

キッチンにおすすめのバリアフリー対策とは?

長時間立ったままで行うキッチンでの作業は、高齢者や体の不自由な方にとっては負担が大きいもの。水仕事や調理時の危険を取り除くためにも、バリアフリー対策が必要だといえるでしょう。
最近ではバリアフリー仕様のキッチンも販売されています。予算や必要に応じて、キッチンの中でリフォーム箇所を検討するのがおすすめです。

IHヒーターを導入する

ガスコンロからの火事や燃え移りが心配だという場合には、IHヒーターへの取り換えを検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、ガスコンロを長く使用していた世代の方が急にIHヒーターを使用するとなると、使い方に慣れず適応が難しいケースがあります。そのため、IHヒーターの導入を検討している際には、高齢になってからではなく早めに交換をしておいたほうが安心です。

引き出しや使いやすい位置の収納を増やす

足腰が弱まったり、車イスを使用するようになったりした場合でも使いやすい位置に収納を用意しておくと便利です。流し台や冷蔵庫、食器棚などは、新築時から安全で使い勝手の良いレイアウトを意識したいものです。足下がオープンになった流し台、リモコンで昇降させることのできる収納などの設備を導入し、長い目で見た使いやすさを優先しながらキッチンのプランを作るべきだといえるでしょう。

足下にスペースを作る

元気なうちは特に気にならないかもしれませんが、体が思うように動かなくなったときに立ったままで長時間作業するのはとても大変です。車イスやイスに座ったままでも作業できるように、調理台の下部分に大きくスペースをとっておくと安心です。動かせるワゴン式の収納棚や、必要な箇所に手すりを設けておくのもおすすめです。

安全装置の備わった設備や調理器具を採用する

キッチンまわりの不安要素といえば、ガス漏れやスイッチの消し忘れといったトラブルです。ガス漏れ検知器や火災警報器の導入に加え、消し忘れ防止のタイマーや一定の温度以上になると自動でヒーターのスイッチをオフしてくれる「サーモスタット機能」など、安全装置の付いた設備を採用すれば万が一の事態を防ぐことができます。

トイレにおすすめのバリアフリー対策とは?

お風呂に次いでバリアフリーの必要性が高いと考えられているトイレ。一日に何回も使用する場所だからこそ、介護する人・される人両方にとって使い勝手の良い状態にしておきたいものです。

トイレの使い方に合わせたスペースを確保する

トイレでの介護で使いやすさを大きく左右するのはその広さです。
健康なときには人が一人入れれば良いと考えがちですが、介護時には補助のためスペースが必要になります。出入り口は扉ではなく引き戸タイプにしておくと、広さを確保しやすくなります。

複数の手すりで体を支える

思うように体を動かせなくなると、しゃがんで立つという動作はとても負担の大きい動きになります。そのため、快適にトイレを利用するには手すりの設置が必要不可欠だといえるでしょう。
また、トイレの介護をする際にも、介護する側の身体的負担を軽減するために手すりはとても重要です。出入りする、室内を移動する、立ち上がるといった動作ごとに手すりの必要な位置が異なるため、適切な場所に複数個設置するようにしましょう。

操作ボタンは見やすく押しやすいものを選ぶ

盲点になりやすいのが、操作ボタンの使いやすさです。高齢者が利用する場合には特に、文字が大きく見やすいボタンのものを、操作しやすい位置に設置すると良いでしょう。
また、自動洗浄機能付きやセンサーに手をかざすと水が流れるタイプもおすすめです。

清潔さを維持できる床材を選ぶ

快適にトイレを利用するためには、安全面だけでなく、いかに清潔さを維持できるかという点も重要になります。床材には、水やアンモニアに強いもの、濡れても滑りにくいもの、スリッパなしでも気にならないような色・素材のものまでさまざまなタイプが用意されています。できるだけ簡単に汚れを落とせて汚れが気になりにくい床材を選ぶようにしましょう。

廊下におすすめのバリアフリー対策とは?

バリアフリーにおいてあまり注目されていないポイントですが、廊下の使いやすさも日々の生活には大きく影響します。ここからは、おすすめの廊下バリアフリー対策をご紹介します!

壁面に手すりを設けて歩行を補助する

足腰が弱ってくると、日々の細々とした歩行さえ負担に感じるようになります。そこで必須ともいえるのが手すりの設置。それだけでも、移動によるストレスが大きく軽減されるはずです。
今すぐには必要ないと感じている場合でも、壁に下地補修だけでも施しておくと、いざ手すりを取り付けたくなったときに大掛かりな工事が不要になるためおすすめです。

車イスが通れる幅にする

将来的に車イスでの生活になる可能性を考慮して、廊下の幅は広めにとっておくのがベターです。車イスで廊下を通る場合には、幅は90cm以上が好ましい寸法だと考えられています。
さらに、車イスの利用者と人がすれ違えるようにするならば、120cm程度の幅が必要になります。廊下に手すりを取り付ける場合にも、車イス利用時に引っかかったりぶつかったりしないようにゆとりをもったスペースを確保できるよう注意が必要です。

段差をなくしたり、スロープを設置したりする

部屋や廊下の間にある段差はできる限りなくしておいたほうが安心です。体が元気なうちはまったく気にならなかった小さな段差でも、高齢になるにつれてつまずきやすくなります。段差をなくすためには、フローリングの重ね張りで床の高さを底上げしフラットにする、スロープを設置するという対策があります。

足元は補助灯で照らす

廊下での思わぬ転倒を防ぐために、足元がしっかり見えるよう補助灯を設置すると安心感が高まります。人感センサー付きのタイプを設置すれば、夜中トイレに行く際もわざわざスイッチを探す手間が省けます。

バリアフリーリフォームをするなら介護保険を利用しよう

『高齢者住宅改修費用助成制度』とは?

バリアフリーのリフォーム時に利用できる「高齢者住宅改修費用助成制度」をご存知でしょうか? これは、要支援・要介護の認定を受けている方が暮らす住宅でバリアフリーの工事をする際に改修費用の9割相当が支給される制度です。支給される金額の上限は支給限度基準額(20万円)の9割(18万円)とされています。
また、限度額は一人あたり生涯20万円までとされていますが、要介護の状態区分が3段階以上重くなった場合や転居した場合には、再度支給されるケースもあります。
給付を受けるためには、原則工事前に申請を行う必要があるため、担当のケアマネージャーに相談してみましょう。

助成金が支給される対象の工事とは?

高齢者住宅改修費用助成制度を利用する場合は、どのような内容の工事であっても助成金が支給されるわけではありません。下記の工事が支給対象とされています。 ・段差の解消
・手すりの設置
・滑り止めもしくは移動をスムーズにするための床&通路面の材料変更
・扉を引き戸等へ変更する工事
・洋式便器への交換 など

支給を受けるために必要なこと

助成金を申請する際には、住宅改修の理由書などの書類作成をケアマネージャーに依頼する必要があります(ケアマネージャーが不在の場合には市町村の介護保険担当者)。
そして、市町村に必要書類を提出した後に、そのリフォームが支給対象にあたるかどうかが確認されます。工事終了後に領収証などを市町村に提出したうえで、最終的に助成金が支給されます。

介護保険加入者や高齢者でなくとも助成金が支給される可能性がある!?

各地域の制度を調べよう

高齢者住宅改修費用助成制度以外にも、地方自治体によっては他にもバリアフリー工事の際に利用できる補助金制度を設けている場合があります。新築時、リフォーム時どちらにおいても、補助・助成・減税制度といった支援を活用できる可能性があるため、事前に確認してみましょう。

バリアフリー住宅は、“いつか”考えるものじゃない

今すぐ住みやすい家づくりを目指そう

健康なうちはなかなか気づかないものですが、自宅でも事故が起こる可能性は十分にあります。今はバリアフリーの必要性を感じていなかったとしても、将来的な暮らしを考えると見過ごせないポイントだといえるでしょう。
高齢者や体が不自由な人を含め、誰にとっても住みやすい家こそが、バリアフリー住宅です。高齢になってから住居に大きなリフォーム工事をするのは精神的にも経済的にも負担が大きくなるうえに、高齢になればなるほど一般的には新しい居住環境への適応も難しくなってしまうものです。家族みんなが楽しく快適に暮らすためには、新築時から将来のバリアフリー化を見越した家作りの計画が必要です。そこに暮らす人の状態や生活習慣などによっても適切なバリアフリーの設備は異なるので、さまざまなシチュエーションに応じた柔軟な家作りを進めていくことが大切です。バリアフリーは、いつかではなく今から考えておくべきことだという点を覚えておきましょう。
バリアフリー住宅のリフォームには、部屋間の段差の解消、手すりの設置、ドアを引き戸に変更する等の比較的小さな工事から、廊下の幅を拡張する、住宅用エレベーターを設置するといった大規模な工事まで、さまざまなものがあります。工事内容に伴い費用も大きく異なりますので、シチュエーションや予算に応じてしっかりとプランを立てながら、自宅に必要なリフォームを検討する必要があります。いざ新築やリフォームを検討する際には、バリアフリー住宅の経験が豊富な建築会社に相談してみましょう。

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