iemiru コラム vol.54
未来を見越した家づくり!政府が推奨するゼロエネルギー住宅(ZEH)とは?
ゼロエネルギー住宅(ZEH)ってどんな家?
エネルギー基本計画によって注目を集めるゼロエネルギー住宅(ZEH)。難しい建設用語のように思えますが、簡単にいうとゼロエネルギー住宅とは『年間で住宅で消費する、給湯・照明・換気・冷暖房などのエネルギー消費量(=1次エネルギー消費量)を実質ゼロにする』というものです。 では、どのようにしてそういったエネルギー消費量を実質ゼロにするのでしょうか?もう少し詳しく見ていきましょう。
断熱・省エネ・創エネを組み合わせた家のこと
ゼロエネルギー住宅の特徴は大きく分けて3つあります。それが「断熱」「省エネ」「創エネ」です。 「断熱」は、高断熱化をすることで夏も冬もほとんどエアコンをつける必要がなく快適に過ごすことができます。省エネ性能が高い設備を導入する事で「省エネ」をして使うエネルギーを減らす事が可能です。さらに太陽光発電システムやエネファームなどを導入し「創エネ」をする事で、使ったエネルギーと同量程度のエネルギーを生み出すことができます。 この3つを組み合わせてエネルギーを自給自足化することで、年間で1次エネルギー消費量を実質ゼロにするのがゼロエネルギー住宅です。
ゼロエネルギー住宅(ZEH)の光と影
月々の光熱費がほぼゼロで家計に優しい
節約する際、食費と同時に光熱費も抑えようとする方は多いのではないでしょうか?しかしゼロエネルギー住宅ならば、エネルギーを自給自足する事ができるので光熱費をほぼゼロに抑える事ができます。 また、余ったエネルギーを売ることもできるのでその資金を他に回す事で結果的に生活費自体も抑える事が可能です。
夏は涼しく冬は暖かいため暮らしやすい
住宅で何より大事なのが暮らしやすさではないでしょうか?ゼロエネルギー住宅なら、高断熱によって冷暖房を使用しなくても夏は涼しく、冬は暖かくとても暮らしやすい環境が保たれます。また、冷暖房が必要な時でも創エネしているので、家計を心配して冷暖房を我慢する必要もありませんし、熱中症やヒートショックという急な温度変化による失神や心筋梗塞を防ぎ健康に暮らす事が可能です。
ZEHを購入すると補助金が貰える
2018年現在、国の省エネ化推進のためZEHの条件を満たせば国から70万円の補助金が貰えます。さらに2018年2月より導入された、ZEHよりもさらに厳しい基準をクリアした住宅は「ZEH +」と認定され、115万円の補助金を貰うことが可能になりました。 他にもZEHの条件を満たした上で、低炭素住宅の条件も満たすと追加で20万円の補助金が貰えます。さらに蓄電システムを導入した場合は工事費5万円、1kwあたり3万円の補助金を貰えますが、その場合上限額がZEHだと30万円、ZEH +だと45万円ですのでご注意ください。
設備導入によって普通の家より建築費用が割高になる
ZEH化のためには「断熱」「省エネ」「創エネ」の条件を満たさなくてはなりません。 そのためこれら3つの条件を満たすことができる設備を導入すると、どうしても普通の家よりも建設費用が割高になってしまいます。 家の規模によってその額は変動しますがだいたいこれら3つを満たすには、一般的には100万円~150万円程度が追加でかかる費用の目安です。補助金で補うことも可能ですが、2017年は需要増加に伴い補助金が途中で打ち切られてしまった事例もあります。そのため、興味のある方は補助金のあるうちにZEH化の検討をすることがオススメです。 しかし、光熱費が抑えられるのでしばらくはそこから補うというのも考えられますね。
発電量が不安定
ZEHは光熱費が抑えられ、さらに売電することもできると言った夢のような話ではありますが、発電量に期待しすぎるのは少々危険です。例えば太陽光発電の場合、夏の晴れた日と冬の雪の日だと日射量が全く違うため、発電量も大きく変わってきます。その結果売電収入は減ってしまいます。 日本には四季があり、さらに梅雨など天候が不安定な時期もあるので、売電収入に依存しすぎずにプラスαの臨時収入と位置づけるのが良いでしょう。
ゼロエネルギー住宅(ZEH)の補助金の仕組み
申込者が常時居住する住宅であること
ゼロエネルギー住宅補助金を貰える仕組みは、申込者が常時居住する住宅であり、基本的に専用住宅であることです。そのため賃貸住宅や集合住宅は対象から外れてしまいますが、その住宅に申請者も住む場合は条件を満たしており、自宅部分の申請であるという条件で認められる場合もあります。
ZEHの定義を満たしていること
1.断熱性能が地域区分ごとに定められたUA値以上
UA値とは住宅の断熱性能を表すもので、数値が小さいほど性能が高いことを示します。その家のUA値が各地域で定められたUA値よりも高い性能であるという数値を出す事が1つの条件です。
2. 設計一次エネルギー消費量が基準一次エネルギー消費量から20%以上削減
家を設計する設計図をもとに、消費するエネルギー量を計算したものが「設計一次エネルギー消費量」です。その一方、標準的な効率でエアコン・換気設備・照明器具・給湯器具などを動かしたときに消費すると見込まれるエネルギー量を「基準一次エネルギー」といいます。そして「設計一次エネルギー消費量」が「基準一次エネルギー量」を20%以上削減しているとみなされた場合、条件の1つが満たされます。
3. 再生可能エネルギーシステムの導入
いくら高性能の断熱性能や、省エネ設備を導入しても電気を使用しなくてはなりません。そのため、「ゼロエネルギーの家」を実現するために、再生可能エネルギーシステムの導入が義務付けられています。
4. エネルギー消費が「トータル100%以上削減」されていること
「断熱」「省エネ」「創エネ」の3つが組み合わさったものがゼロエネルギー住宅だと説明しましたが、それが上記の1~3の部分に当てはまります。そして、一番肝心なのが4で、1~3を総合的に見たときに自宅で消費するエネルギーがトータルで100%以上削減されているということが条件となります。
ZEHビルダー認定されている
ZEHビルダー制度というのをご存知でしょうか?ZEHビルダー制度とは、「自社が受注する住宅のうちZEHが占める割合を2020年度までに50%以上とする」という事業目標を宣言したハウスメーカー、工務店等を「ZEHビルダー」として登録する制度です。 ZEHビルダー制度が始まるまではどの建設業者でゼロエネルギー住宅を建てても補助金を貰えましたが、2016年からはZEHビルダーに認定された建設業者でないと補助金を貰うことができなくなりました。そのため、補助金を貰ってゼロエネルギー住宅を建てたいのならば、あらかじめその建設会社はZHEビルダーであるかを確認しておく必要があります。
日本政府のエネルギー基本計画とは?
政府が再生可能エネルギーを主力電源にすると発表!
2011年の東日本大震災以降、原子力や火力発電に依存していた日本政府は最大のエネルギー供給の危機に陥りました。そこで政府は安全かつ継続的にエネルギーを生むことのできる再生可能エネルギーに注目をしたのです。そして2018年3月にエネルギー基本計画の見直しに向けた政策案で、再生可能エネルギーを主力電力に位置付けると発表しました。
2030年までに新築住宅の平均でZEH実現を目指す!
未来投資戦略2017では2030年までに新築住宅の平均でZEH実現を目指すことを発表しました。また、当面は新築注文戸建住宅中心に普及させていく方針ですが、戸建住宅に加え、集合・既存住宅のZEH化が重要とも示しており、ますますゼロエネルギー住宅の需要が高まっていることがわかります。
ゼロエネルギー住宅(ZEH)の注意点
補助金の申請期限に気を付けよう!
補助金は2017年度までは公募制なので、これからも公募制である可能性が高いです。そのため申請期限がありますのでしっかりと確認して申請しましょう。
専門知識のある業者選びが大切!
まだまだ浸透しているとは言えないゼロエネルギー住宅(ZEH)なので、信頼のおける専門知識のある建設業者選びが大切です。複数のZEHビルダーに相談してしっかりと選びましょう。
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